武竜戦記 41
「まぁ何でもいいが、この辺の土地の事を教えてくれないか?」
「下界出身だろ?情報なんてはいて捨てる程あるんじゃないのか?」
「下界ってなんだ?」
「水の都出身者も情報豊富と聞くが…、まさか壁の向こうから来たとか言うんじゃないだろうな?」
「あの“炎の壁”の事か?」
「おいおい、それ本当かよ…」
デュランが指差す方を十六夜は見つめる。暗雲漂う北の空の向こうに、炎の線が横にどこまでも続いていた。
「あの炎を越えて来た」
ソルトとバジルもそれを聞いて呆然としていたが、しばらくすると二人そろって吹き出した。
「フフフ、面白い事を言う方ですね」
「嘘を吐くにしても、もっとマシな嘘にしないとな」
「いや嘘じゃないんだが」
デュランの真剣な顔を見てソルトとバジルは困った表情をした。
「興味があるな。とりあえず今はユメを回収してテントに戻るぞ、君の話はそれからゆっくり聞かせてもらいたい」