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武竜戦記
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武竜戦記 35


「気持ち悪いぐらいウジャウジャしてやがるな…、一瞬で消し去ってやるよ」
バジルは怪しい笑みを浮かべると、岩を押した。その一押しで岩は勢いよく斜面を転がっていく。グルー達は突然の事にうろたえながらも、その大半が岩を避けていった。そのうち岩は止まり、グルーの群れがゆっくりそれに近付いていく。

「餌に引っ掛かったな、ワンちゃん」
バジルが拳を叩く。すると巨大な岩は拳程の大きさに分裂し宙に浮くと、四方へ飛び散っていった。一つ一つの石の塊がグルーを貫通し次々とグルーの体に穴をあけていく。

「ウッヒャッヒャッヒャ!!さてと仕上げと参りますか!!」
斜面を滑りおりるバジルの目にうつるのは、ほとんどが狼グルーの屍だけだった。彼はヨロヨロになったグルーを見つけると、なんの迷いもなく頭を殴り潰していった。

「雑魚いねえ!!ウッヒャッヒャッヒャ!!」
彼の鬼のような姿は巨大な柱へと向かい、小さくなっていった。

同じ頃…
青い玉を腰にぶら下げたソルトが人型グルーの中をゆっくりと歩いている。グルーはソルトが近付くと、鋭い爪で彼を切り刻もうと飛び掛かるが、その度に一体一体確実に破壊されていった。

「あまり騒ぎたてられると仲間を呼ばれる危険がある、静かに静かに行こう…」
ソルトがブツブツ言いながら歩みを進める度に、グルーの首が一瞬で消えていく。ソルトの通った後に倒れているのは首のないグルーのみだった。血が飛び散った跡はなく、グルーの首はまるで最初からなかったかの様に切れ目が塞がっていた。

「まずいな…、この調子だと魔石発動時間に間に合わない。仕方ない、飛ぶとしよう。某(ソレガシ)の竜剣の力思う存分味わうがいい…」
ソルトは一体のグルーの首を斬り落とすと、首なしの体が倒れる前にその首のあったはずの場所に足をのせ、軽やかに飛び上がった。
ソルトの姿はずっと宙を舞っているように見えた。彼の動きに反応のしきれないグルーは、その頭を斬り落とされ次の足場となり、彼が再び飛び上がる為の協力者にされていた。
宙を舞うソルトの姿も巨大な柱へと向かい、小さくなっていくのだった。


二人が順調に事を進めている時、十六夜はさらに順調に事を進めていた。

「誰もいない?」
彼は目の前にある鉄製の扉を少し開け、中の様子をみた。そこは暗く広い空間で、目標の柱を中心にして螺旋状の階段が壁に設置されていた。度々人の叫び声のような風の音が聞こえ不気味な雰囲気を醸しだしている。

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