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武竜戦記
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武竜戦記 33

机の上に置かれた四つの玉はそれぞれ色が赤、青、黄、緑と異なっていた。鋭い目の男が何故それぞれ色が違うのか尋ねると、十六夜はそれに答えた。

「これは爆発の色と同じモノになる。“ソルト”は青、“バジル”は緑を運んでもらう」
十六夜はそういいながら青の玉を鋭い目をしたソルトに、緑の玉をタレ目のバジルに渡した。

「赤と黄は──」
「黄色は私がやる」
十六夜の話の途中、ソルト達の後ろから女の声が聞こえた。聞き覚えのあるその声を聞いて、十六夜は頭を抱えた。
「たく、またついて来たのか…ユメ」
「何被害者ぶってんの?私に黙って出て行くから悪いんでしょ?」
額を抑える十六夜の手をユメは何度も指で突っつく。ユメの勢いに押され十六夜は一歩一歩後ろにさがっていった。残された二人は呆然とその光景をただ眺め続けるだけだった。

「光波殿、お知り合いで?」
「あ、ああ。彼女は─」
「はあ?光波?十六夜お前いつ名前が変わったんだ」
十六夜がソルトの質問に答える前に、ユメは十六夜に質問を投げかけた。ソルトの鋭い目がユメを睨めつけるが、彼女はそれに気付く事なく十六夜の手を突っつき続ける。

「……………どぉうぁ!!止めんかい!!!」
ユメの連続つつきにより十六夜の怒りは遂に限界をむかえ、キレた。十六夜の怒りの形相からか、ユメは口を両手で塞いで震えていた。十六夜はその仕草を見て彼女に手をさしのべる。

「す、すまなかった。言い過ぎて悪かった」
十六夜はうろたえながらも謝るがユメの震えは止まるどころか大きくなっていった。そして…

「ぷっ、ぷははははは、十六夜変な顔だな」
大爆笑した。指をさし腹を抱えて笑うユメを見てソルトとバジルは目を点にした。ユメの笑い声が響く中、今度は十六夜が震えていた。怒りという名のもとに。

「ユメーーーーー!!!」


ゴツンという音と同時にユメの笑い声は止まった。十六夜は再び話の再開するが、彼の足元に倒れているユメの頭からは、湯気が立ち上ぼっていた。

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