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武竜戦記
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武竜戦記 32


───半年後

大陸最大の勢力“覇”の軍の駐屯地に十六夜はいた。十六夜は岩に腰を下ろして、砂漠で訓練をしている兵士達を眺めている。そこへ綺麗に髭を生えそろえた男が近寄って、彼に声を掛けた。

「明日ここにいる者の半分は屍になるだろう、魔物と戦う覚悟はできておる。しかし出来る事なら死なせたくないのだ、大事な部下達だ…。光波よ、やってくれるな?」
十六夜は兵士達を見て指を差すと、その人数を数えた。
「一、二。山向こうにある“グルードーム”をぶっ潰すには最低二人必要だ」
「やってくれるのだな!?」
「俺も竜人族だ、同族が死んでいくのを黙って見てる訳にはいかんだろ」
髭の男は拳を叩くと頭を深くさげて涙する。十六夜はひょうたんから酒を飲むと、眩しそうな顔で太陽見て大きなあくびをするのだった。

その日の夜─
「知っての通り北の壁から“カインの末裔”が来てから半年になる。奴等は物凄い早さで覇に侵攻してきていてる。その主力が“グルー”と呼ばれるドロドロで黒光りする化物だ。グルーには狼型、人型、天使型があり、中でも天使型が強敵となるだろう」
十六夜の話に二人の人物が反応する。
「ハッ」
「敵が出て来たらブチのめせばいいんだろ?」
片方は目付きが鋭く十六夜に威圧感さえ与えていた。もう片方はというと目は頼りないタレ目だが、戦う闘志がみなぎっている様子だ。

「俺達が今から行くのは“グルードーム”つまりはグルーの生産施設だ、化物がウジャウジャしてやがる。それでもいく覚悟はあるか?」
「勿論」
「何言ってやがるさっさと敵地に連れてけよ」
二人の迷いのない態度を見ると十六夜は頷き、机の上の地図に指をさす。

「グルードームは四つの巨大な柱に支えられその形を維持している。北と東は俺が破壊する、お前らは手分けして西と南の柱を破壊しろ」
「光波殿、どのようしにして柱を破壊するので?柱は強力な竜術で強化されていると聞きます、短時間でそれを破壊するのは難しいかと」
「お前はバカだ、気合に決まっているだろうが。なぁ?光波」
十六夜は二人の会話が終わると布袋から四つの玉を取り出した。二人は首を傾げる。

「“魔石”だ。“基本”の竜術をかけると数分後に爆発する代物だ」

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