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武竜戦記
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武竜戦記 31


「タングステン!!」
地竜がそう叫ぶと地面から巨大な鋼の壁が現われ、二人の周りを隙なく覆った。

「シールドをはってみました。この間にジン君をどうするか教えてください。」
「どうするって?」
「“オババ”は御存じのはずだ、闇竜の呪いは取り払えない。あれは僕たちでいう“加護”と同じものなんだよ?」
「まぁそうなんだがねぇ」
「選択肢は二つ。処分するか…、力を制御できるようにするか」
「あれは孫なんだ、できるだけ処分はしたくない」
「では…」
地竜がチェスの顔をのぞきこむとチェスは頷いた。

─二人が壁の中でなにやら相談している時、その外ではジンがイライラした表情で竜剣を振っていた。竜剣が地竜の出した壁にぶつかる度、洞窟の中を風が吹き荒れる。

「老婆の仲間がエンペラーイレブンときたか…、厄介なのが敵になったもんだ」
ジンは力一杯竜剣を壁に押しつけるが、壁には傷一つついていなかった。

「ジンくん待たせたね」
「やっと出て来たか…」
ジンが地竜の声がする方に振り向くと、彼は怪訝そうな顔をした。その方向は壁とは正反対の場所で、地竜はジンと距離が離れている所にいた。

「チェスはどこにいった?」
「さあね」
「…まあいい、変わるのはどちらが早く死ぬかだけだ」
ジンがそう吐き捨てると、彼はその姿を一瞬で消し、次の瞬間地竜の目の前で竜剣を構えていた。

「!!」
目を丸くした。しかしそうなったのはジンの方だった。ジンは竜剣を抜こうとするが体が何故か動かない。手が震えるだけのジンの腹に地竜は笑顔で鉄拳をねじりこむ。
そのままジンは気を失った。

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