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武竜戦記
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武竜戦記 28

扉からガルが飛び出しジンの腹を抱えると、彼はもうダッシュで部屋から離れて行く。

「水の“魔法”が使えない奴が来ていい場所じゃねえ!!邪魔しに来たのか?ええ!?」
「あぐぁ…」
「水分吸われて声もでねえか?水魔法が使えた200人の仲間が皆干からびちまったんだ、作戦の立て直しだな」
「………」
「そういえばテメェ、ユメは一緒じゃねえのか?」
「おぐぉ…」
ジンの意味不明な言葉を聞くとガルのこめかみに血管が浮きでてきた。

「チッ、まぁセトの足止めをしたのは認めてやる。ユメは俺にとって駒にすぎん、デストロイヤーの事が知りたければリベンジに強力しろ」
ガルがジンの顔を睨み付けると、ジンは無言で首を縦にふった。ガルがジンを脇に抱えたまま、その姿は水の都の闇に消えていくのだった。

一ヵ月後、“下界”にジンとガルの姿があった。そこは石造りでできた建物がたち並び、それに沿うように露店がいくつもだされていた。露店に挟まれた道は大勢の人々が行き交い、活気に溢れている。

「デストロイヤーは俺ら人間が住む下界育ちだそうだ、うまくいけばここで情報が得られるだろうよ」
「下界には初めて来た」
「知ってのとおり下界じゃ竜人族は毛嫌いされてる、ハーフだって例外じゃねえ。背中の紋章だけは見せんじゃねえぞ?」
「…なあ、何でお前は四天老の仇討ちなんか考えてるんだ?」
「はあ?」
鈍い音ともにジンの視界がグラグラと揺らいだ。ガルの拳骨の跡がついているのではないかと思うほど、ジンの頭にはその痛みが続く。

「あんなクソジジィ達の為にいちいち命懸けてられるか!!目的は財宝だ、財宝!極悪人の仇討ちとぐらい言わんと命知らずの奴等が集まんねえんだよ!」
「て事は俺は泥棒!?」
「今頃水の都じゃ指名手配の紙が貼られてんじゃねえか?プハハハハハ」
「プハハじゃねえよ!水の都は“武”の領土内だぞ!?俺は“武”の出身者だ、このままじゃ故郷に戻れない!!」
「そんなに心配すんな、水の都は“武”の領土といっても住人のほとんどが人間で、孤立した場所だ。一応言っとくがお前を騙した時はクーデターをするって話だったんだぞ?」
「それは独裁者の老人達から人々を解放する為だろ、こそ泥とは全く意味が違う!!」
「わーった、わーった。そろそろ学者さんの家だ、お前は何も喋るなよ?いいな?」
「分かってる」

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