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武竜戦記
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武竜戦記 27

十六夜が叫ぶと、彼とジンたちの真下に巨大な竜の紋章が発生し、その紋章の外側から半球状の白い光りが膨らんでいく。それは一気に広がり、一気に消えた。紋章の外にいたタイラントオーガたちは、皆白い光を放ち人形のようにほとんど動けない状態になっていた。

「…時間が止まったのか?」
「何バカぬかしてやがる、さっさと俺達を連れていけ……」
十六夜は呆気にとられていたジンに命令すると、そのまま意識を失い床に倒れた。ジンは十六夜の言葉を思い出し、二人に駆け寄ると彼らを背中に担いで走り出す。

「あのぉ、ジンさん」
「誰だこんな時に!!」
ジンが後ろを振り向くとそこにはミティカの竜魔、竜鳳がいた。

「いつからそこにいた!?」
「少し前からと言った方が適切でしょうか?不思議な事に氷の竜言語術は空間移動ができてしまうんですよ。十六夜さんが突然現れたのもそのせいです、そこで提案なんですが―」
竜鳳はそう言うと床を指差す。始めは何のへんてつもない床だったが、それは次第に歪んでいき青い光を放つ穴が一つ出来上がっていた。

「今の私のレベルでは指定の場所に人を運ぶ上限は一人、でも私の竜笛のある場所へ運ぶのに上限はありません。この穴を使って脱出しませんか?」
「分かった、二人を頼んだ」
「え?二人ですか?ジンさんはどうされるので?」
「ガルに恩を売りに行く」
「デストロイヤーの話、本当に信じる気ですか?」
「何でそんな事まで知ってるんだ!?…まぁ信じなきゃ何も始まらない、俺はそう思う。それだけ」
「………」
「じゃあ十六夜達を頼んだよ、助けに来てくれてありがとうな」
「お気をつけて」
「ミティカさんによろしく」
ジンはそう言うと少し嬉しそうな顔をして竜鳳たちから離れて行った。ガルたちがいるはずの場所、そこはジンたちの突入した部屋より下の階にあり、人工の滝が流れているという話だった。そこまでの距離はほとんどない、ジンは急いでその滝に向かう。
ジンがその場所に近付くにつれて少しずつ寒くなっていった、そしてガルたちのいるはずの部屋の扉を開くと、彼は肌に痛みを感じた。

「(声が出ない…)」
「チッ何しに来やがった」

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