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武竜戦記
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武竜戦記 23

ユメが走りだしそのあとをジンが追う、全力疾走した二人は配置場所に辿り着くと息をきらして前屈みになった。二人の配置場所は宮殿の周りに浮いてる浮遊岩の一つ。浮遊岩から宮殿を見下ろすと、二人は怪訝な顔をした。

「こんな簡単に配置場所に…ユメ、警備が手薄すぎないか?」
「私もそう思っていた所だ、もしかすると罠かもしれない」
そう言っているうちに宮殿の明かりが消えた、ユメは舌打ちをすると先に飛び降りる。ジンも溜め息をつくと飛び降りた。二人は硝子でできたカラフルな天井を勢いよく割って宮殿に侵入した。
「!!」
硝子が舞う中、ユメは敵を確認した。長い白髪の剣士、彼は瞬き一つせずに二人が落ちてくるのを眺めている。

「子供が二人だと…、なめられたものだ」
剣士が床に手をつくと魔方陣が現われ、そこから一本の剣がのびてきた。

「見つけたぞ“セト”!!父上の仇!!」
ユメは腰に付けていた丸い物体を取り外す。するとその物体は光の刃を発生させ、光の剣へと姿を変えた。ユメはその剣を強く握り、セトと呼ばれた剣士に突っ込んでいく。

「まだ君はそんな事を…、君の父の死は多くの民の命を救った。いい加減気付いたらどうだね」
「黙れ!!裏切り者!!」
ユメの光の剣がセトの剣と衝突する。その衝撃で光沢のある床が、まるで水滴の落ちた水面のように壊れていった。

「普通叛乱をする時、仇討ちを恐れ対象者の周りの者は皆殺しにする。しかし私はそれをしなかった、私の慈悲を無駄にするつもりかね?」
ユメを片手で振り払うセト。間をおく事無くジンが攻撃を仕掛けるが、ユメ同様一撃で床に叩きつけられた。その間にユメは立ち上がり再び斬り掛かる。

「父上はいつでも優しかった!!」
「本当にそう思っているのか?この都の人口半分がハーフだと知って」

「たく…、その仇討ち助太刀させろよな!!」
ユメの斬撃がセトに弾かれると、続けてセトに向かいジンが剣を振りおろす。セトは振りおろされた剣を指で挟み止めると、ジンの横腹に蹴りをいれ彼を壁に叩きつけた。

「水の都は“人”の場所。“四天老”のその言葉が人々を狂気へと導き、ハーフの大虐殺が始まった。純血の竜人族は仕返しが恐いから手を出さない…、そんな訳の分からん老人の為に戦う事に大義なんてものはない!!君もそう思わんかね?ハーフ君」

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