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武竜戦記
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武竜戦記 19

「ジン、ついてこい!!やり方は前と同じだ」
「分かった!!」
竜将が地を駆ける。素早い動きでタイラントオーガの間を縫って走ると、次々とタイラントオーガの体の一部を剣で叩いていく。そしてジンがすかさずその部分に剣を突き刺していった。

「やれる!!」
ジンがそう確信し最後のタイラントオーガを倒した時だ。黒髪の少女がマントを広げると、一瞬で竜将がそれに包まれて消えた。
「竜将!!」
ジンは急いで剣を構えた。彼の背後では次々とタイラントオーガが倒れていき、その向こうにいたミティカの姿が見えた。

「竜将に何をした!!」
「力を回収しただけだ、悪いが竜鳳も頂いていく」

「そう簡単にはやらせないわ!!」
すかさずミティカが弓をひく、彼女は数本の矢を束ねてそれを放った。白い光をまとった矢は物凄い速さで飛んでゆくが、その先にレメクの姿はなかった。

「本気で僕に勝てると?」
ミティカは急いで夜空を見上げる、白い満月を背にレメクが笑っていた。レメクは白い光に包まれると、ミティカめがけて落下した。爆風が巻き起こり地面がえぐられる。

「ふん、バアさんが今さら何をしでかす気かな?」
「うるさい奴が出て来た…、“管理者”はすっこんでな!!」
爆風で膝をついたミティカの前で、いつの間にか二人の人物が拳を交えていた。一人はレメク、もう一人は灰色の頭と髭をもつ老人だった。

「管理者の役目は世界を混沌へ向かわせないようにする事、お前のしようとしている事は世界を混沌へと導く。普段なら誰かを使ってお前を倒させる所だが…、今回は時間がないのでな。直接ほおむってくれよう」
「お前に僕は殺せない、それよりいいのかい?ラル・バーストを野放して」
「ふん、“壁の向こう”は既に手をうってある。心配はない、プレントの所に“ラティス”を送ったのでな」
「ラティスだと?忌々しい名前だな!!」
レメクが拳を振ると、それに合わせて白く光る剣が無数に地面から突き出てくる。管理者はそれを紙一重で避けると、紫の小さな玉を投げつけた。小さなその玉はレメクにかわされると、地面で大爆発した。地は揺れ、そして崩れていく。ジン達を巻込んで。

「僕は諦めないからね…」
皆が巨大な洞窟に落ちてゆく中、レメク一人だけが宙に突然現われたファスナーに吸い込まれて消えた。

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