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武竜戦記
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武竜戦記 14

─同じ頃ジンは一人で路地裏を歩いていた。
狭くて薄暗いその道は、いつ誰かに襲われてもおかしくない様な空気を漂わせていた。ジンはチラチラと背後を確認する。

「何の用ですか?」
ジンは後ろを振り返るとそう言った。

「なぁに、お前の持ってるその笛と剣さえ渡してくれたら、黙って逃がしてやるよ」
その男の声と共に6人の男達が、ジンを囲むようにして現われた。彼等の手には少し大きめのナイフが握られている。

「笛ってこの笛の事かい?」
「ああ」
「やるよ、こんな使えない笛。ほらよ!!」
ジンは躊躇なく竜笛を男に投げた。男はニヤリと笑うと右手を上げる、するとそれを合図に周りの男達が一斉に襲いかかってきた。
ジンは剣を低く構えると、襲いかかってきた男達の間を流れる様にすり抜ける。そして合図を出した男との間合いを一気に縮め、斜めに斬り上げた。
男は笑ったまま顔を凍らせた。彼の服は綺麗に切り裂かれ、その部分から細長い傷跡が顔を見せる。恐怖のあまり男は地面に尻をついた。

「き、貴様ホントに“ハーフ”なのか!!」
「水の都について話は知っている。そこで尋ねたいのだが……」
ジンがそう言い始めたのと同時に彼自身が投げた竜笛が掌に落ちてきた。

「この笛の“元々”の持ち主について教えてもらおうか」
「貴様わざと我等を……」
その間に他の男達がナイフを持ってジンの後ろから斬りかかろうとした。座り込んだ男はそれを止める。

「やめんか!!俺を殺す気か!?それにお前らじゃ勝てん……、ふん、ハーフの分際で!!俺についてこい」
その男は路地裏の一つの建物にジンを案内した。中は静かで断続的な機械音がなっている。

「俺の名は“ガル”だ。死ぬまで忘れるな?」
「何故俺に名前を?」
「この建物はお前の思っている以上に重要な所なんだよ」

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