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時が止まるとき
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時が止まるとき 10

「ふ〜ん・・・確かに同情するね。ところでお茶でもどう?」
どこからともなく現れた眼鏡の少年が、現れるなり雪崩を起こしたガラクタの中からやかんを捜し出しお湯を沸かし始めた。
「は、はぁ・・・頂きます。」
思わず答えると、
「う〜ん・・・お茶請けは羽二重餅で良いかな・・・?」
などと独り言を言いながら用意を始めた。
「ちょっと!アンタ誰なのよ!?」
とミカが噛み付くが、
「初対面の人にアンタ呼ばわりする奴に名乗る名前は無い、っと・・・ん?あった、賞味期限は、っと・・・」
相変わらずの調子である。
あまりの素っ気なさにミカのこめかみに青筋が浮かぶ。マズい。場の空気が凍り付いた。そして、案の定暴力の権化、ミカのドロップキックが炸裂!ところが直撃寸前にひょいと動く少年。目標を見失ったミカは敢えなくガラクタの山に激突。雪崩に襲われたのだった・・・。少年はと言うと気付いているのかいないのかは定かじゃないけれど、何事も無かったかの様に用意を続けている。

「そろそろ、かな?」
お湯が沸いた様だ。ミカはと言うと一同(ユエを含む)が自業自得だと思っていた為、生死の確認すらされずにそのまま放置されていた。
「さあさ、粗茶じゃあないが、遠慮せずにどーぞ」
「は、はあ……」
 そう言って皆にお茶を配る少年。何だかんだといって、しっかりとミナの分もある。
「ミ、ミナ? お茶入ったよ」
 いい加減に放っとくわけにもいかず、用途不明の物体に埋もれているミナにおそるおそる声をかける。
「……」
 あ、少し動いた。
「……!」
 結構もがいてる。
「……くはぁ! 危うく死ぬところだったじゃない! そこのアンタ、避けるな!」
 起きるなり元気なミナ。
「それと『黒色』! 少しは部屋を片付けなさいよ!」
「え? 『黒色』って何?」
 片付けについて文句をいっていたので、みことの事だろうとは思う。しかし、そう呼ぶ理由が分からない。
「黒色が嫌なら雨男でもいいわよ!?」
 ますます訳が分からない。
 すると、表情から思いを察したのか、少し落ち着いて説明をはじめるミナ。
「えっと、簡単に言えばこいつの姓は『黒色』を表して、『降雨』を司ってんの。ね、倶利伽羅さん?」
「??」
やっぱり分からない。
でも、そんな私にお構い無く、
「うんうん、確かに俺様の名前にはそんな意味があるとかないトカ!」
と答えるみこと。そして、大袈裟なポーズ(いつも大袈裟だけど)をとると、
「しかぁ〜し!俺達が興味あるのは・・・!」
と叫ぶ。更に眼鏡の少年が、
「無論ドジッ娘メイドロボただ一つ!」
と湯呑みを片手に続けた。そして「同志よ!!」と熱い抱擁・・・。

5分後・・・
まだ二人の抱擁は続いていた。私たち4人は呆気にとられるばかり。流石のミカも言葉が無いみたい。

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