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時が止まるとき
その他リレー小説 - ファンタジー

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時が止まるとき 5

「え……?」
 次の瞬間、私の喉元に、銀色に輝く切っ先が突き付けられた。
「テメェ……!」
「おっと、銃のおじさんは動かないでくださいよ? もし動いたりしたら……ブスリ、といきますからね」
 そう言って、あわてて動こうとした滝を制する。
「ちょっと、人質をとるなんて、あんた卑怯じゃない!?」
「はは、これも生きるための知恵ですよ」
「な、なにが知恵よ! この人でなし! エセ爽やか! あんたなんか笑ったときに歯をキラーン、って輝かせてればいいのよ!」
「美奈、それは関係ないよ……」
 私が疲れたように言うと、少年が不思議そうに尋ねてきた。
「……殺されるかもしれないのに、怖くないんですか?」
「え、あ、いや、だって、そんな気はないんじゃないですか?」
「……なんでそう思うんですか?」
「だって、殺すだけなら、声を掛けないでいきなり襲えばいいはずでしょ?」
「……貴女たちの身体が目的なのかもしれませんよ?」
「それなら尚更、滝さんだけは確実に仕留めると思います。ジャマですからね」
「……」
「……それに、あなたはそんなのを目的にするような人には見えませんから」

隙を伺っていたらしい滝が行動に出た。すっ、と伸ばした右手から手品の様にさっきの拳銃が現れる。弓を引くような動作で、銃の後ろの、大きなネジの様な部分を引いて離し、引き金を絞った。銃声と共に赤い光弾が放たれ、耳障りな金属音が響き剣が吹っ飛んだ。少年の手から離れた剣は紫色の霧となって四散する。
剣を失った少年は、何かに取り憑かれたようにぶつぶつと呟く。「…るな…」「え?何?」そしてさっきまでの冷静さは微塵も感じさせない、顔を歪め乱心しきった表情で滝に掴み掛かる。「僕を…僕をいじめるなぁ〜っ!」ばちっ!「ばかっ!」少年の頬にミナの平手が炸裂した。べちっ!「ばかぁっ!」続いて滝にも。「二人共そこに正座!」
男二人、無理矢理正座させて、腕を組みふんぞりかえるミナ。「ち…ちょっとミナ?」色々と無茶な展開についていけない私。「アンタたち歳いくつ?」間を置いて「24」と滝。ブゼンとした表情で「14」と少年。びしっ、と滝を指差すミナ「まずアンタ!大人としての自覚が足りない!」つづいて少年を指差す。「イジメられっ子だか何だかしらないけど…」

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