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時が止まるとき
その他リレー小説 - ファンタジー

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時が止まるとき 4

そして細かい光の粒が、霧の様になって滝の脇腹…出血している部分に集まってゆく…。不可解な表情で滝が脇腹をさする。「傷が…ふさがってる…」その言葉を聞いてミナがピタリと泣きやんだ。「ホントに?マジで?痛くない?」怪我が治った事よりも、ミナの感情の浮き沈みの激しさにただただ茫然とする滝。「…ありがとう…」
滝が照れ臭そうにぽつりと呟き、ミナに小さく頭を下げた。人として普通の対応なんだけど、私は少し安心した。いきなり銃向けてきて恐い人かと思ったけど、本当は普通の人なんだ…。しかし普通でない反応をしてるのはミナのほうだった。何やら真っ赤になってわめきちらしている…今度は何?「か…勘違いしないでよねっ!」
「ミナ?」「そりゃちょっとありがとうなんて言われてドキドキしたけど!よく見ると人並にカッコいいかなとか思ったけど!基本的にオタクはキライっ!キモイっ!」早口でまくしたてるミナ…。「うるせえっ!俺だって可愛いだけでアタマ悪い女は嫌いだっ!」なんかだんだん子供の喧嘩みたくなってきてるけど、二人ともそう悪くは思って無いみたい…。
「僕はどっちも嫌いです…オタクも馬鹿女も…」その時、凛とした声があたりに響いた。声の主は…爽やかな雰囲気の、すらりと背の高い少年が細身の長剣…レイピア…を片手にたたずんでいた。
 突然現れたその少年は、名乗りもせずに、こちらを品定めするように眺めている。
「……あ、あなたも能力者、なの?」
 美奈が恐る恐る聞いてみる。もっとも、剣を片手にこの場にいる時点で、それ以外の可能性は考えられないことだが。
 だが少年は問いには答えず、それどころか聞いてもいないことを話しはじめた。
「……あんまり遠足気分ではしゃいでると、悪党に狙われちゃいますよ?」
「……あなたも襲われたの?」
「ははは、僕は違いますよ。僕は……」
 つかつかと歩み寄る少年。
「……襲う側なんですよ!」

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