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時が止まるとき
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時が止まるとき 24

 でも無視。それも皆。
 私も、ちょっとそんな暇はなかった。
「……あっれー? ここは普通、止めるか逃げるかするとこじゃないか?」
「ああもう、うっさい! 今こっちは忙しいのよ!」
 そう言って、ミナは足元に転がっていた拳銃を見事なフォームでみことさんに投げ付けた。
「ぐぼあっ!?」
 あ、顔に直撃。
 奇声をあげて転がるみことさん。
「ちょっ、ちょっとミナ、やりすぎじゃない?」
「いいのよ別に。こんな時に嘘吐くから――」

『要請確認。……、……認証。本機ハコレヨリ自爆モードヘト移行シマス』

 不吉な機械音声が、戦闘の騒音も超えて響いた。
 その場からすべての音が消えて、それどころかみんな動くのも止めた。
「あ、あっれぇ? これって何かのギャグかしら。はは、あははは」
 ミナの作り笑いがむなしくこだまする。
「ぐ、思わず自爆スイッチを押しちまったぜ……。くそう、俺のグランドリルが……無念だ……」
「み、みことくん!? 大丈夫?」
 力尽きたみことくんはみんなに無視された。
「ヤバイな……」
「ヤバイですね……」
「……ヤバイね」
 三人分の視線が、この事態を引き起こした張本人にそそがれる。
「な、なによ。何か文句あるの? どうせこいつの発明品なんてたいしたこと――」
「ち、ちなみに、自爆モードはこの建物ぐらいは軽く吹き飛ばせるぜ。褒め称えてくれ我が技術力。……がくっ……」
「……がくっ……、じゃないわよ!何とかしなさい、このメカヲタク〜っ!!」
「ミナ!死んじゃう!死んじゃう!」
 力尽きたみことくんを間髪入れずに締め上げるミナを何とか引き離そうとしていると、

『絶対無敵の天才的超爆発迄後5分……』

冷徹な機会音がパニックの真っ只中にある私達に更に追い撃ちをかけてきた。
「おいおい、こりゃマジでマズイいぞ」
「何とかして止められないんですか?」
悲痛な声を上げる滝さんとめぐみくん。その間も着実にカウトダウンは進んでいく。
「ああもう、あんたら五月蝿いっ! 騒いでわめくだけなら赤ん坊でもできるわっ。アタシ達は大人なんだから、できる限りのことをやるのよ!」
 自信満々なミナの言葉のおかげか、敵味方問わずに静まり返った。そして、この場にいるみんなの視線がミナに集まる。
「ね、ねえ、それで私たちにできることって?」
「そうね、まずは……全力でここから離れる! 今すぐっ! 以上っ!」
「って、それだけ!? ま、待ってよミナぁ!」
 言うなり走りだしたミナの後をあわてて追い掛け、
「み、皆さんも早く! 五分しかありませんよ」
 と声をかけた。皆は既に私の前を走ってたけど、一応……


「ユエさん、大丈夫ですか?」
 私の少し前を走っていためぐみくんが心配そうに振り返る。
「うん……何とか、大丈夫……」
 口ではそう言うけどもう一杯一杯。自慢じゃないけど私は運動がミナのとっての家事くらいに得意だったりする。
 心の中で変な自慢をしていると、後ろから盛大な音を立てて光一くんが走って来た。音の原因はその背中に、
「同志!お願いだから降ろして!って言うか助けて!!」
 頭を下にして背負われたみことくん……

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