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時が止まるとき
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時が止まるとき 22


『よぉよぉみんな! 待ったかい、待ったよな!? 無敵に(略)な倶利伽羅みこと様のさんじょーだ! それじゃあ聞いて驚け喰らって吹き飛べ! 準備は良いな!? 今必殺の……自ぶぁ――なっ、離せって! 痛っ、痛ててて!』

「……」
 轟音に次いで聞こえてきた演説にみんな言葉を失う中、光一くんは意に介した様子もなく、
「さ、尊い犠牲を無駄にしないためにマザー確保にいこうか?」
「……犠牲かよ」
「犠牲なのね……」
「犠牲なんですね」
「……」
尊い犠牲?のお陰で、信者達の抵抗は微々たるモノだった。警察や自衛隊か、やくざから奪ったらしい武器も滝さんやめぐみくんの『能力』の前には無力だった…。
そして盲信的な彼等の何人かは…降参…してくれなくて…捕まるぐらいなら死を選ぶ、と騒ぎ始めた。ミナが絶叫する、普段はただワガママな女の子だけど、『人』として決して間違っていないという、確信の籠った瞳…。
「何なのよ…何なのよアンタたちぃ!」
すかさず生き残りの信者達が反論した。
「黙れ!大局を見極められぬ俗物どもが!」
「私達は、選ばれた民なのです…」
ふうぅ〜…っと怒りを噛み殺すミナ。

「……分かった。百歩譲って、いえ、千歩譲ってあんたたちが選ばれたとするわ。で? それと死とどう繋がるの? 選ばれたってコトは何かをさせたいんでしょ、そいつは」
 ミナは騒いでいた信者たちを睨み、
「だったら死なずに頑張りなさいよ! それとも何? あんたたちが死ぬことが選んだやつの望みなの? ただ従うために崇めてるんじゃないでしょ。だったら生きて生きて、生き続けながらそれを選んだやつに誇りなさいよ!」
その間、滝さんは…只のヲタクとは思えない慣れた手つきで…信者の人達が持っていた武器を分解してゆく。めぐみ君も要領を教わりながらそれを手伝っていた。
「僕…この人達の本音、ちょっとだけ理解出来ます…。」
めぐみ君のひと言…ミナの暴力的ツッコミがあるんじゃないかと一瞬、目をそむけた…がミナは真面目に彼の意見に耳を傾けている。
「退屈してたんでしょ?平和な世の中に?」
めぐみ君は馬鹿にしたような表情で、分解した銃の部品を床にバラ撒く。信者の人達が激しく罵倒したけど、彼は構わず続けた。

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