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時が止まるとき
その他リレー小説 - ファンタジー

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時が止まるとき 21

「じゃあ、俺っちはこれからグランドリルの最終調整に入るから、皆々準備でもして、まったりとくつろいでてくれや」
 みことくんはそう言うと、廊下の突き当たりの窓から外へ出ていってしまった。
「まったく、調整ぐらい来る前にしときなさいよ。……仕方ないわね。あのバカが動くまで信者が入ってこなさそうな部屋で待ってましょう?」
 いなくなったみことに対してぶつくさ言いながら、ミナが呆れたようにつぶやいた。
「……そう上手くは行かないみたいだぜ」
「ええ、そうみたいですね」
「え? どうしたの、二人とも」

「おやおや、あなた方は信者ではありませんねぇ? どちらさまですかな?」

 急に声のした方に顔を向けると、さっきまで誰もいなかったはずの廊下に、いかにもカルト宗教の幹部といった感じの、無駄に怪しげな衣裳を着た男が立っていた。
「入信希望者ですかな?そうであればちゃんと受け付けで手続きを……」
穏やかながらかなり胡散臭い笑顔を私達に向ける教団幹部(仮)
その言葉が終わらないうちにミナが行動に移った、けど……
「……驚きましたね」
なぜかミナのキックは擦り抜けてしまった
「神の使いである私にその様な暴挙……万死に値しますよ」
そう告げると懐から銃を出し私達に向ける
その時、男の奥の窓の近くで鳥が飛び立った。一瞬全員の注意がそちらに逸れる
「……何だ、鳥ですか。さぁ、悔い改めなさいっ!」
そう言って男が引き金に指を掛けた
(あぁ!もうダメ!!)
そう思った瞬間、光一くんがあさってな方向へ手元にあった椅子を投げつける
すると少し遅れて鈍い音がして男の姿が消えてしまった
「ぐっ……貴様、なぜわかった」
声のした方を見ると頭から血を流した男が倒れていた
(え?ど、どういう事?)
「……鳥だよ」
銃を持つ男の手を踏み付けながら光一くんが答える
「鳥、だと?」
痛みに顔を歪める男
「そう、鳥。あの時アンタの体の一部が消えた。それで分かったんだよ『コイツは光の屈折を利用して姿を消し、更に僕達には幻を見せてるんだ』ってね」
光一くんは無表情のまま淡々と説明すると、男を近くの柱とプラ手で繋いだ
「いや、でも何でコイツの居場所まで分かったんだ?」
滝さんが男の銃を懐にしまいながらながら尋ねる
「あぁ、それは『影』ですよ。不自然な場所に本体の影が表れていたんです。どうやらそこまでは能力が及ばなかったみたいですね……これで良し、っと」
滝さんに答えながら男の目と口を持参したガムテープで塞ぐ光一くん
「はぁ〜……アンタって口だけじゃなかったのね」
ミナが感心した様な声を上げる
と同時に建物中に巨大な地響きが鳴り響いた

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