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時が止まるとき
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時が止まるとき 13

そして、右手中指で眼鏡を押し上げると、
「それさえあればあとは僕の専門分野だから何とかするよ。何、僕にかかれば別に難しいことじゃない。」
と自信満々に続けた。「他に質問はないかな?」
「は〜い!」
「はい、早良さん。」
「何でアンタはそんなに偉そうなんですか?」
「・・・君に言われる筋合いは無い、以上。次。」
光一の一言に再びミナのこめかみに・・・
「アンタわぁ・・・!喰らえ!!」
出た!一撃必殺ドロップキック!!・・・すかさず光一は手近な死体を盾に。みことは再び違う世界に旅立った・・・
「なぁ、真面目な事聞いて良いか?」
「はい、どうぞ滝さん。て言うか誰かさんみたいに真面目じゃないことは聞かないで下さい。」
「誰さんって誰のことよ!」
「まぁまぁ、落ち着きなよ、ミナ。」
「じゃ、じゃあ聞くけどよ。アンタらには何で『バグ』が発生してないんだ?」
光一は少し思案すると、
「・・・まぁ、アナタ達より運が良かった。ただそれだけの事ですよ。」
と答えた。私とミナはひそひそ声で、
(あのメガネ、絶対何か隠してるわよね?)
(うん、何か考えた割りには答えが投げ遣りだし。)
と囁き合った。
「っと、まあ、一刻一秒を争うような切羽詰まった状況じゃあないから、しばらくは気楽にいこうか?」
 光一の言葉に、私は疑問を感じた。
「あ、あの」
「ん、なにか?」
「地底人化が今すぐじゃないことは分かったんですけど、だいたいどれぐらい時間が残ってるんですか?」
「残念だけど詳しくは分からない」
 速答だった。
「能力が出た時点で『バグ』の発生を確認できるが、その後は様々だ」
 その言葉に、時が止まった初日にすでに不良地底人になっていた人を思い出す。あの人は特別に進行が早かったのだろう。
「バグに関して、もう一つ問題があります。」
光一がぴしっと人差指を立てる。
「人間そのものの暴走…」
確かにこの状況、何かの偶然で犯罪者がバグ持ちなんてなったら…。
「バグ所有者を中心とした暴徒の集団も確認されています」
「やっつけちゃえばいーじゃん」
しれっと返すミナ。
「人を殺して平気ですか?」
みことの説明(いつものハイテンション)によると、完全に地底人化した者の場合、さっきの不良地底人みたく元いた世界に強制送還……多分また動けないまま…。
「アレの場合完全に不良地底人にのっとられてるお陰で本人は無事ですが…」
かしゃーん…雛形くんが、コーヒーのカップを落とした。
「僕は悪くない…僕は…」

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