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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜
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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜 7

 
その日の昼休み、高志郎は真と結衣を屋上に呼び出した。
来てくれるかどうか心配だったが、それは杞憂に終わり高志郎は胸を撫で下ろした。微妙な表情で自分を見る2人に、鬼児と人外のことを説明してやる。少々荒唐無稽な話だが、昨夜の光景を見た2人が疑うことは無かった。
「なるほど、つまり高志郎と橘さんはこの街の正義の味方みたいなことをしてるんだな?」
「わかりやすく言えばそうだな」
「そう、なんだ? ごめんねこー兄、わたしこー兄のこと怖がってた」
「いいさ、怖がらせたのは事実だからな。それから、ああいう事に遭いたくなければしばらく夜の街を歩かない方が良いぞ」
最近の街はおかしい。原因を探り出して根絶するまでは、昨夜のような事はいくらでも起こりえる。高志郎はそう考えて注意を促した。
「わ、わかった」
「うん」
2人は素直に頷いてくれる。高志郎は安心して小さな溜息を吐いた。
「話は……終わった?」
不意に屋上に女子が入ってきた。
「橘、それに秋田か?」
入ってきたのは彩華と彼女の親友の【秋田 早苗】だった。いつも着物で登校している変わり者だ。
早苗は底の窺えない深い瞳で高志郎を見た。
そのただならぬ気配に、高志郎は彼女が同類であることを悟った。
「話がある……聞いて」
静かな口調で有無を言わせぬ物言い。さすが良家の令嬢だけあって命令する事に慣れている。
「話してみろ」
あまり気に入らないがいちいち腹を立ててもいられない。高志郎は話を聞いてみることにした。
「単刀直入に言う、私達に協力して……」
「協力?」
「そう、謎の地震の直後から市内で起こっている異変、その原因を探り出す……。それを手伝って」
高志郎はしばし逡巡する。原因を探る、確かにそうした方がいいかもしれない。
まさか現れた人外を潰していくだけで事態が収まるとは思えない。この街に鬼児が何人いるかは知らないが、異変が表に出始めているところを見ると、現状では対処し切れていない。
「わかった。協力する」
高志郎は考え抜き、決断した。戦う者としての優れた決断力の表れだった。
彼の協力を取り付けられて、彩華がホッと溜息を吐く。
「よかった。ありがとう龍海君」
「俺のことは呼び捨てでいい。その代わりこっちも呼び捨てにする」
「わかったわ、よろしく高志郎」
「ああ、よろしく彩華」
彩華の差し出した手を高志郎は握った。

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