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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜
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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜 32

最後の一人を探すとなればマナセの言った手掛かりとなる聖痕に言及すべきだろう。
「聖痕と言うからには特徴的な傷跡、もしくは痣かなにかが身体の何処かにあるんだろうな」
「まるで心当たりがあるような言い方ね」
「ある。これだ」
高志郎は左腕の袖を捲って二の腕をだした。そこに在るものを見て彩華が驚愕に目を見開く。
「六芒星……」
三角と逆三角を重ねた星、六芒星の痣がそこに在った。
「こいつと同じものが結衣の身体にもある。彩華はどうだ?」
「あたしにもあるわ。背中の真ん中よ」
言うや否や彩華は背中を向けて前のボタンを外し、ブラウスをはだけて背中を曝した。高志郎が止める間もなかった。
「確かに在るな」
折角なので確認がてら目に焼き付けようと凝視する。
だがその時、数人の女子生徒が屋上に上がって来て、制服をはだけた彩華の姿をまともに目撃してしまった。
「あ、え!?」
「橘さん?」
「龍海くん!」
悪いことに女子生徒たちは二人のクラスメートだった。
彼女たちは高志郎と彩華を交互に見た。
『ご……ごめんなさい!』
そしてダッシュで屋上を立ち去った。
お陰で高志郎は言い訳する事すらできない。
「おいおい……誤解されたぞ絶対」
「あ、あたしも軽率だったわ」
彩華は今になって初めて自分のしたことの恥ずかしさに気付いたのか、顔を赤らめながらブラウスを戻す。
「さ、戻りましょ。そろそろ昼休み終わるわ」
「……」
高志郎は眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をしたが、戻らない訳にもいかないので渋々従った。

二人がクラスメートに囲まれて質問責めに遭うのは数分後の事である。


「……ムカ」
「どうしたの?」
隣りを歩いていた結衣の様子が変わったのに気付いて早苗は問い掛けた。
「今なんかムカつきました」
言ってから結衣は自分の言い方が誤解を招きかねない事に気付いて訂正する。
「あ、別に早苗先輩やクロちゃんにムカついたんじゃないですよ。ただなんとなくこー兄と彩華先輩の間になにかあった気がしただけで……」
「それも……感覚共有?」
特に危険も無いと判断したのか、早苗は気怠そうな口調で訊いてくる。
「いえ、ただの女の勘です」
「ふぅん……」
早苗は結衣のような姫巫女の勘がどれだけ鋭いかは言わないでおいた。本当の事を言って機嫌を悪くされたら少し面倒だからだ。
「・・・とりあえず急ぎましょう」
「あ、ごめんなさい」
さらりと話題を刷り変えると早苗が当初の目的である場所を目指し歩き出した。
「(それにしてもなにが起きたのかな〜?)」
早苗の後ろを歩きながらそんな事を考えていると
「きゃ!!」
「おっと」
脇道から出てきた男にぶつかってしまった。
「すすす、すみません!!ぼーっとしてたもので!!」
ペコペコ頭を下げ謝る結衣
「いやー、こっちこそごめんね〜。地図ばっか見てたもんだからさ〜」
結衣に向かい、人当たりの良さそうな笑顔を浮かべながら頭をかく。

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