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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜
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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜 4

裂帛の気合とともに真横に薙ぐ。すると剣から蒼い光が伸び、幽鬼を6体、まとめて両断した。残る敵は4体。高志郎は駆け、そのうち2体を倒した。
彩華もその間に最後の2体を片付けていた。
「これで幽鬼は打ち止めか……」
しかし高志郎も彩華も警戒を解かない。なぜならまだ親玉が残っている。
「きゃあぁぁぁ!」
どこからか少女の悲鳴が響いてきた。結衣の声だ。
「結衣!」
「え、どうしてあの子が!?」
「俺のせいだ」
高志郎は舌打ちしながら、コンクリートを蹴って走った。
 
「で、でかい!」
結衣を背に庇う真の前に、大きな影が立ちはだかっていた。
3メートルを超える巨体だが太くはなくしなやかな筋肉がついている、まるで電柱に手足がついているかのようだ。双眸は鈍く光り、その形相は鬼そのもの。そしてもっとも目を引くのは頭の生えた2本の角。さっきの幽鬼などとは違う圧倒的な存在感。
幽鬼は通常は単独行動、そのため退治することはそう難しくない。しかし強力な統制者がいる時は軍団となり恐ろしい相手になる。その統制者こそ悪鬼、今真の前に立っている人外である。
「グゴオォォッ!」
悪鬼が吠える。その圧力は凄まじく、床がビリビリ震えた。
「きゃあぁぁぁ! こー兄、こー兄ぃ!」
耳を塞いで泣き叫ぶ結衣。その黄色い悲鳴に悪鬼が反応する。
真は直感的にヤバイと感じ、結衣を強引に抱え上げてその場を離脱した。悪鬼の腕が直前までいた所に叩きつけられ、コンクリートの床が砕けた。
床を転がる2人を悪鬼が追い、再び拳を振り上げる。今度は避けられない。
「でやぁ!」
岩のような拳が振り下ろされる直前、横様から突っ込んできた高志郎が悪鬼を蹴り飛ばした。
遅れて彩華もやってくる。
真と結衣を後方に庇うように高志郎と彩華は悪鬼と向かい合った。
「ガアァァ!」
悪鬼がまた吠える。向かい合う二人はそのプレッシャーを押し退け、左右に散開した。
右に高志郎、左に彩華、正面に真と結衣、どれを狙うか迷った悪鬼に一瞬の隙ができる。そこを左右の二人が示し合わせたかのように同時に仕掛けた。鞭が肩を打ち、短剣が脇腹に沈む。
しかし悪鬼はまだ倒れず、痛みに身を捩って見境無く暴れ出した。
振り回した腕に高志郎は弾き飛ばされる。柱に背中を打ち付け、低く呻いた。
暴れる悪鬼を止めようと、彩華は腕に鞭を搦めて引っ張った。一瞬悪鬼の動きが止まり、その隙に高志郎が復帰する。
しかし悪鬼の怪力は凄まじかった。鞭ごと引っ張られた彩華の身体が浮き、そのまま高志郎の方へ投げ飛ばされる。突然のことに対応しきれなかった高志郎は彩華と激突して、二人はもつれ合いながら床を転がった。
「くっ、強い!」
「このままじゃ、まずいな」
痛みに呻きながら二人は言葉を交わす。
ダメージは与えられているものの、決定打を欠いているために押し切れていない。
「なにかいい手は無いか?」

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