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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜
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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜 29

彩華と結衣が高志郎を鋭い目付きで睨む。
「な、なんだよ?」
「別に!」
「なんでもない!」
二人は聞いただけで臓腑が冷えるような声で答えた。
その様子を見て早苗が珍しく笑い、籐子とクロがため息を吐く。そして一言。
『鈍感』
なぜそう言われたのかわからず、高志郎は目を白黒させた。
「ところでこの街の事とは別なんだが」
空気の読めなかった高志郎は強引に話を始める。
「真の事はどうする?」
『あ……』
皆一様に今思い出したというリアクションをする。
哀れな事に、真はすっかり忘れられていた。
「でも、魔術に関して素人のはずの真君が出したあの『力』は一体・・・」
彩華が呟く。
「術の暴走じゃないのか?」
「術の暴走にしてはおかしい点がいくつかあります。」
高志朗の問いに早苗が答える。
「まず暴走にしては魔力が攻撃に特化されていたこと、そして彼の魔力の量に対して使用量の方が上回っていたこと、そして最後に・・・」
早苗が一呼吸置く。
「彼の魔術から人が到底持ちえないほどの怨恨の念が感じられたこと」
そう言うとそれを感じた時の寒気を思い出し、軽く肩を抱く。
「うむ・・・それは儂も感じた。距離があったために詳しくは解らなかったが・・・」
「『八頭』とかいうやつらか?」
「いや、それはないわ。あの時彼は『八頭』にも攻撃してたもの」
「じゃああれは・・・?」
「心当たりが一つある。明日詳しい人物に訊いてみよう」
クロが言った。
「詳しい人物?」
「郊外にある教会の神父だ。かなりうさん臭い人物ではあるがな」
「私も行きます。私も彼に用がありますので」
早苗が手を上げる。どうやらうさん臭い神父とやらを知っているようだ。
「それから島谷さん」
「は、はい」
「貴女も一緒に来るのよ」
『はい?!』
高志郎、彩華、結衣の声が重なった。
早苗が結衣をチョイスする事はそれだけ意外だったのだ。
なぜならこの二人には直接的な接点が無い。
高志郎のように幼馴染みというわけでも、真のように遊び友達というわけでも、彩華のように委員会が同じというわけでもないのだ。
不思議そうな顔をする三人に早苗は説明する。
「この先、“八頭”は間違いなく巫女を狙ってくる。だから貴女が弱いままでは困りますもの」
つまり結衣は出来る限りパワーアップしなくてはならないのだ。
「わかりました」
結衣も状況をわかっているだけに、素直に頷いた。
「俺たちはどうすればいい?」
「高志郎と彩華は街の探索。残りの封印と最後の守護者、ついでにあのヘタレも探し出して」

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