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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜
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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜 25

「でも腑に落ちないのよね。あの二人は太古の魔物の封印を破ろうとしてるのに、どうしてあのポニーテールの子を狙ったのかしら?」
「わからない。ただ氷室が結衣を巫女と呼んでいたのは聞いた」
同じように高志郎を宝剣の担い手、彩華は聖櫃の運び手と呼んでいた。守護者とも。
高志郎は頭を掻き毟った。知らないことが多過ぎる。
「母さんは何か知らないか?」
ソファに横たわる結衣の様子を見ていた母に訊く。籐子は唇に人差し指を当てて考える。
「結衣ちゃんのことはともかく、封印を施したのが巫女様だったのは確かよ」
丁度その時だった。インターホンが来客を告げ、早苗が合流した。
高志郎から簡単に説明を受けた彼女はしばらく考え込み。やがて皆を見た。
「今夜得た情報を簡単に整理すると……高志郎のような守護者と今夜戦った八頭をなのる集団の対立の構図ができるわ……」
早苗は紙にペンを走らせ図を書いていく。
「守護者にはそれぞれ神器というものが対応する……」
高志郎と彩華そして結衣の名前のあとに宝剣、聖櫃、宝鏡と付け足される。
「封印は……残り二つ」
「全部で幾つ?」
「恐らく四つ。二回の地震は封印破壊の反動のせい」
「その通りだ」
窓のほうから男の声が割り込んできた。クロだ。
「遅かったな」
「済まない。念のため市内を探っていたんだ」
クロは窓から飛び降り、籐子の膝の上に落ち着く。
人外の出現に泉梨が少しだけ嫌な顔をした。
「それでクロちゃん。封印は見つかった?」
「ああ、西側に祠の出現を確認した」
「そこも後々調査するわ……続けましょう。封印の数が四つなら……守護者の人数もおそらく四人、神器も四つ」
「根拠は?」
「これを見て……開錠!」
早苗は唐突に異空間の裂け目を作り出した。手を突っ込んで黒い包みを取り出す。
「って、これアンタの着物の袖じゃない!?」
今まで黙って話を聞いていた彩華が呆れた声を出す。誰もつっ込まなかったが、早苗の着物の片袖は家に入って来た時から無かった。
「あらあら勿体無いわねぇ」
「手近なものが無かったから代用したのよ……これは持ってる着物でも安い方だし」
言うまでも無いが、早苗には安くても着物は高級品です。
「見て……」
風呂敷のようになった袖を開く。中にはたくさんの金属片が入っていた。
早苗は金属片をジグソーパズルのように組み合わせていく。やがて組みあがったのは、一本の剣だった。
「ぐっ! こ、れは……」
高志郎は剣を見た途端、頭に鈍痛を覚えた。痛みに耐えるように顔に手を当て、指の間から剣を凝視する。なぜだろう、妙に見覚えがあった。
早苗は彼の様子に気付かず、話を続ける。
「恐らく……それぞれの封印に一つずつ神器が置かれているわ……北側は龍海家の管轄だったのね」
「籐子殿、これに見覚えは?」
「無いわねぇ。他の一族は姿を消してしまったし、ウチも曖昧な伝承しか残っていないもの。困ったわぁ」

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