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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜
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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜 16

「ちょっとあんた! あれは無いでしょ!!」
真の気配が去ったあと、彩華は口を開いた。言葉には明らかに怒りが含まれていて語気も荒い。
対して高志郎はあくまでも冷静に言う。
「巻き込むわけにはいかないだろ。邪魔なのは本当だ」
「それにしたって、言い方ってものがあるでしょうが!?」
彩華だって結衣と真を追い返すことに異論は無い。だが高志郎のやり方は気に入らなかった。
「あれじゃあの子が可哀想よ」
高志郎は沈黙した。彩華は無言で睨み続ける。しばらくにらみ合いは続き、根負けしたのは高志郎のほうだった。
「わかった後でフォローする。その時は、手伝ってくれるか?」
1人だとまた何を言うかわからない、と付け足す。
彩華は満足そうに頷き、念を押すように言った。
「わかったわね。明日一緒に結衣ちゃんに謝るのよ」
「ああ」
「話は済んだか?」
頃合いを見計らってクロが話しかけてくる。その時になって、高志郎と彩華はクロの存在を忘れていたことに気付いて、思わず笑った。


「いらっしゃい」
屋敷に入ると、早苗が礼儀正しく出迎えた。
相変わらずの着物姿であるが、部屋着らしく浴衣に近い。
「遅かったのね」
「門の前でちょっとね」
言いながら彩華はジト目で高志郎を見る。高志郎は特に何も言わなかったが、居心地悪そうに唸った。
早苗の案内で客間に通される。彩華は廊下の途中で別れ、台所に向かった。
しばらく待ってお茶を持って彩華が客間に現れ、クロの話が始まった。
「さて、なにから話したらいいものか……」
座布団にお座りしたクロが呟く。猫舌らしく、お茶には手を付けていない。
「クサナギの封印、というものが何なのか。それからでよろしいのではなくて?」
大蛇の遺した最後の言葉、まずはその謎から解明されるべきである。と、早苗は考えた。
わかった、クロは頷く。
「はるか昔神代と呼ばれた頃、この草薙の土地には強大な力を持った人外が君臨していた」
「君臨? 支配していたのか?」
「そうだ。化け物は土地を荒し、供物や生贄を要求して人々を困らせた。だがある時、北から現れた旅人たちがその化け物に挑んだ」
旅人とはおそらく鬼児。化け物の噂を聞いてどこかからやって来たのだろう。
「彼等は化け物の力を奪って4つに分けて封印し、弱体化した本体を討った」
「じゃあ、クサナギの封印ってその化け物の力が封じられてるのね?」
「ああ。そしてその封印を代々守ってきた旅人の一族に連なるのが……」
「俺の、龍海家だな」
「今となっては守護しているのは龍海家だけ。敵がどんな魔物だったのかもわからん。だが力の封印が解き放たれれば化け物の再来もありうる」

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