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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜
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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜 12

「系統、か……」
「そうだ。それがわからなければ師匠を探す事も出来ないだろう」
「そんな……」
真は本当に残念だった。折角、彩華の役に立てると、高志郎と同じ場所に立てるのだと思ったのにいきなり躓いてしまった。
「力が欲しくばまずは己を知れ、ということだ少年よ」
「誰だ!」
不意に何者かが庭の方から会話に加わってきた。高志郎はソファから立ち上がり、警戒して身構える。
黒いネコが一匹、器用にガラス戸をスライドさせて入ってきた。
「あらあらクロちゃん。お久しぶりねぇ」
「変わりはないようだな籐子殿」
「あぁ、最期に会ったのはニ十年ほど前かな?」
そう言うとひらりと窓枠から飛び降りた
「あら、確かこの子が産まれた年くらいに会ったはずよ?」
普通に猫と談笑する母、籐子
「母さん…誰?」
「あら?言ってなかったかしら?」
そう言うと黒猫を持ち上げた
「『クロ』ちゃんよ」
「よろしく、少年」
片手(前足)を上げ挨拶をする猫
「猫…だよね」
そう言った瞬間クロが高志朗の脳天にかかとを落とした
「『虎』だ。籐子殿の子息ともあろう者が見た目に騙されおってからに…」
床に降りると二本足で立ち腕を組んだ
高志郎は蹴られた頭を押さえつつ、目を白黒させる。油断していたとは言え、なんの反応も出来ずに小突かれたのは子供の時以来だった。
(こいつ……強い!)
高志郎に対してこんなマネが出来る人物はそうはいない。圧倒的な実力者である彼の両親ですらそんな事が出来るかどうか怪しかった。故にこのクロという『モノ』が底知れない力を秘めているのが嫌というほどわかった。
「なぁ、いいのか? こいつもその、化け物なんだろ?」
真が袖を引きつつ小声で言ってくる。クロが人外ならば倒さなくてはいけないのでは? と言いたいらしい。
「母さんの知り合いらしいから倒すわけにはいかないだろう。見たところ物事への分別もあって実害も無さそうだしな」
「そんないいかげんでいいのか?」
「いい。強力でも実害は無い人外は実際に居るしな」
たとえば精霊などがそうだ。彼等の力は強大な自然の化身だが、ヒトの世の中に深く干渉する事はあまり無い。倒す意味が無いものに敵対する必要は無いので放って置かれるのだ。
「それで、今日は何の御用なの?」
いきなりの訪問にも籐子は眉一つ動かさず、冷静に問う。
彼女の図太さに苦笑しつつ、クロは用件を話し始めた。
「なにちょっとした報告だよ。北の封印が破られたんだ」
「北の封印が? そうなのね、だから街が……」
籐子は朗らかな表情を変えないまま、声を低くした。深刻そうな空気が漂う。
「封印って言ったな? もしかしてクサナギの封印というものか?」
2人?の間に高志郎が割って入った。クロは眉を顰めて籐子を見る。
「教えたのか?」
「いいえ。どこで知ったの高志郎?」
「それが……」
高志郎は籐子とクロに、大蛇と戦った時のことを話した。

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