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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜
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クサナギ〜蒼い剣と紅蓮の翼〜 11

「聞け」
そんな彼の頭を容赦無く小突いた。そして胸倉を掴んで顔を近づけ、瞳を覗き込む。
凄惨な光を湛えた瞳が真の視界一杯に広がった。
「とにかく家に帰ってさっさと寝ろ。いくら同類でも雑魚は仕事の邪魔だ。わかったらとっとと消えろ」
女は言うだけ言って真を突き放すと、踵を返した。足音も無く歩き、そのまま夜の闇に溶け込む。
真はそれを呆然と眺めていた。頭の中がグチャグチャで立ち直るのに10分の時を要した。
 
 
高志郎は彩華たちと別れ、自宅に戻った。大蛇の最後の言葉のことは気になったが、情報の少ない状態で考えても無駄だと早苗が主張し、今夜は解散した。
「ただいま」
「おかえりなさい高志郎。真くんが来てるわ」
「真が?」
言われて玄関の靴を見る。たしかに高志郎とは別の靴が置いてあった。
リビングに入ると落ち込んだ様子の真がソファに腰掛けていた。
「どうしたんだこんな時間に?」
真の様子がおかしいと感じた高志郎は努めて優しく話しかける。すると真は必死そうな顔で高志郎を見上げた。
「実は……」
真は自分の身に起こったことを残らず話した。
「そんな事があったのか」
「教えてくれよ、この街に何が起こってるんだ? それにおれは……」
真は謎の女が言ったことを特に気にしていた。同類、という言葉を。
高志郎は小さくため息を吐いた。
「この街の事については調査中だ。だが夜の街が危険な事はもうわかるな?」
「ああ……」
「それからお前のことなんだが……お前も俺も同じ鬼児だ」
「……」
あまりにあっさりと明かされた真は呆気にとられた。数秒の後我に返る。
「ハッキリ言うんだな」
「隠す意味なんて無いだろう?」
紅茶を口に含みつつ、高志郎は冷静に答える。そのさっぱりした態度が真を安心させた。
「はは、そうかも」
「それで、こんな事を聞いてお前はどうするんだ?」
ちょっとした出生の秘密だ、ただ単に真実を知りたくて来るという事もあるだろう。しかし高志郎には真がそれだけで訪ねてくるとは思えなかった。
その通りだったのか、真は意を決して話し始める。
「お願いだ、おれに戦い方を教えてくれ」
「無理だ」
その間わずか十分の三秒。即答だった。
「な、なんで!?」
「鬼児の異能というものはな、4つの大系統に分類されているものの多種多様だ。俺がお前に教えられることといえば基本的な知識だけだ」
そう言って高志郎は鬼児のことを話し始めた。
鬼児の異能は4つの大系統に分かれる。接近戦のスペシャリストの闘士、多種多様な術を用いる魔術師、人外や動物に変身する変身者、そして一発芸的ではあるが強力な固有能力を使う超能力者。それぞれ力の使い方が違う。ちなみに高志郎と彩華は闘士、早苗は魔術師に分類されるそうだ。

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