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ジェノサイダー
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ジェノサイダー 18


「紅蓮から漆黒に亡命した科学者の男です、名目は救出ですが、はっきり言って強奪です」
隊長は溜め息をつくと話を続けた。

「今紅蓮と漆黒は密かに和平会談を進めています、どの道この戦争は終わるのです…」
「待ってください!!」
隊長の一言にオルガは大声をあげて立ち止まった。

「それでは俺達の今やってる殺し合いに意味はあるんですか!?」
「オルガ…」
「この戦いを早く終わらせたい、そう思って俺は紅蓮に入った、なのにそれじゃ…」
「意味は大いにあります!!和平が結ばれた時、漆黒の勢力を小さくできる、この作戦はそれぐらい重要なんです」
オルガは腑に落ちないといった顔をしているが、デュランが何度も頷くと、舌打ちをして再び走りだした。

「デュランは何とも思わないのか?」
「私情は捨てた方がいい、それに俺達の中で一番悔しそうなのは、隊長みたいだしな…」
オルガが言ってデュランが答える。その間も隊長の炎が敵を焼いたが、その炎は敵の頭以外を一瞬で灰にする程、強力になっていた。
3人の敵が通路に現われた時だ。1人目2人目と隊長の業火に消され、3人目が消えたと同時に、通路を埋め尽くした武装兵が現われた。
「“今回”は私が敵を焼く、後の戦闘は頼んだぞ」
『はい?』
隊長の言葉に2人の声が裏返った。
隊長が床に手を置くと、地獄の劫火が渦巻き武装兵を飲み込む、武装兵たちの断末魔の叫びが終わると共に、炎は消えた。
「灰も残らないのか…」
オルガはそう呟いた。頑丈そうに見えた床や壁、天井が熱で抉られ、そこには何も残っていなかった。

「オルガ、デュラン、私は少々疲れた、“いざ”という時まで戦闘は君達に任せる」
隊長の命令に2人は黙って頷いた。
とはいったものの、いくら走っても賞金首の姿は見られない。戦闘する事なく3人は“博士”のいる研究室に辿り着いてしまった。

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