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デストロイヤー
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デストロイヤー 56


「いちいち俺の“名前”盗るからこうなるんだ」
「…うぜぇ」
ビリィが笑っていると、倒れていたデュランが死にそうな声でそう呟いた。ビリィは笑ったまま屈みこむ。

「あれ?まだ生きてたんだ。さすが破壊神」
「…名前を盗っただあ?そんな事、知るか!!」
デュランは地面に手を付けるとビリィを睨み付ける。彼が地面についたその腕に力を入れると、掌から円形の赤い光が現れた。それは地面を破壊しながら瞬時に広がっていった。デュランを中心にした赤い円柱状のテリトリーが完成したのである。

「ふーん。話には聞いてたけど、相手を強制的に宙に浮かばせるだけ?」
ビリィは緊張感のない表情をして仰向けの状態で上昇していく。それを下から見ていたデュランは両手の間に巨大な火焔玉を作り出し、その狙いをビリィに定めた。

「後輩ならもっと先輩を敬うんだな!くらえええええ!!!」
デュランは巨大な火焔玉を放り投げるようにして放った。それは“ゴォー”という空気を焼くような音と共に、背中がガラ空きのビリィに迫っていき、直撃した。
それと同時に円柱状のテリトリーも砕けて空に飛散した。その破片は無数の赤い流星となり空を赤く染めあげる。

「ゴホッ」
流星の飛ぶ空の下、カラカラの大地に血が滴り落ちた。
掌を真っ赤に染める血が地面にこぼれていく。その血に染まった手はデュランのモノだった。

「不老不死でも血を吐くものなんだ、ちょっとガッカリだな…」
岩の上に立ち目を細めているビリィ。デュランは口に溜まった血を吐き捨てると、無言で短剣と鉄塊を構え、攻撃体勢にはいる。

「俺の魔法はアース系、地を耕す為にある魔法。そう聞いていた…、だがそれは違った!!この力は“破壊の魔法”、あらゆるものを砕き、崩し、消滅させる。そう、俺こそが“真の破壊神・デストロイヤー”だ!!」
「ゴチャゴチャうるさい奴だ…。破壊神だかなんだか知らねえが、エリーを助けるまでは負けられねぇ…」
デュランの瞳が点滅すると、それは黄金色の瞳へと変わっていった。彼の周りではプラズマが発生し、空気全体が異常に乾燥していた。

「先輩も変身できるんだぁ。実は俺もできるんですよ、“霊薬”を飲んだ特別なスネークハーフの特権です」
目を見開くビリィ。彼の体は鱗に覆われて、まるで鎧をまとった戦人のようになっていった。

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