デストロイヤー 55
左の扉の向こう──
赤い空の大地の上にデュランはいた。見えるのはボロボロになった地面と、雲をも突き抜けている巨大なドームの残骸だけだった。
「ここは龍戦記の…」
「そう、決戦の地」
「チッ!!」
突然聞こえたその声にデュランは身構えた。しかし声の主の姿はない。地面が震え、それが終わると地面は急に爆発した。爆発により迫りくる岩石。デュランは急いで炎を圧縮させ、それを爆発させて空中に緊急回避した。
「これは…、アース系の魔法か」
「正解」
空中にいるにも関わらず背後から声がした。振りざまに短剣を振るデュランだったが、そこに相手の姿はない。急ぎ頭上確認すると、そこに“奴”はいた。逆光のせいだろうか、そいつの姿が黒くてよく見えない。
「クッ!」
デュランは空中で再び炎を爆発させ、“奴”に斬りかかる。だがそれは軽くかわされた、奴はそのまま地面に降りていく。
「先輩!俺の事覚えてるか?」
“奴”はデュランを見上げてそう言うと地面に綺麗に着地した。奴は黒いスーツに身をまとって笑っている。
「また黒いスーツか…。悪いな!!お前のような後輩は俺には…、いない!!」
全身に炎をまとうデュラン。彼はまるで隕石のように相手にむかって突っ込んでいく。そしてそれが地面に落ちると地響きと共に巨大な爆煙がたちのぼった。
「先輩、覚えてないの?俺ですよ俺、“ビリィ”です」
爆風の吹き荒れる中、黒いスーツを着たビリィという男が意識のないデュランの胸ぐらを掴み、天高く掲げていた。
「あれ?死んじゃった?」
「………」
「なんだ、意外とあっけなかったな」
ビリィがデュランを掴んでいた手を放すと、ドサッと音をたてデュランは地面に倒れた。