デストロイヤー 50
「んじゃあ“せ〜の!”、でどれにするか言うのにしようぜ」
「問題ない」 「いいぜ」
「よっし!せ〜の!!」
「右」「左」「真ん中」
息はピッタリ、ラスティンの掛け声にしっかり合わさっていた。しかし意見はバラバラ。オルクスは右、デュランは左、ラスティンは真ん中を選んだ。
「おいテメェら、一緒に戦う気ねえのかよ!!」
「決まったな。扉の先で待っている。ラスティン、しくじるなよ?」
「じゃあな、オヤジ。死ぬなよ?」
「へ?」
気付くとラスティンは1人になっていた。彼はため息をつくと扉を開ける事にした。
「普通一つの扉に皆ではいるだろうよ…」
右の扉の向こう──
そこは石で作られた古びた城の一室。窓の外には白い満月が雲で見え隠れしていた。その部屋で黒いスーツを着た三人の人物が、なにやら話している。
「チェイン、ミネルヴァ…、俺達本当にこれで良かったんだよな?」
背中に巨大なハンマーを装備した大男が、不安そうな顔で二人に意見を求める。白髪のチェインは何も答えない、その隣りにいたミネルヴァは笑顔で振り返った。
「大丈夫、魔王様は私達を助けてくれるわ…、きっと」
「だよな、そうだよな!!」
「二人共、変な幻想を浮かべるのは止めろ。僕達は死ねない…、あの日から死ぬ事さえ許されなくなったんだ」
「チェイン…」
チェインのその言葉で二人の顔から笑顔が消えた。雲が月を覆い部屋が暗くなる。そして再び月明りが部屋を照らした時、そこにオルクスが現われた。