デストロイヤー 49
「“大切な人”を守りたいなら、俺達と来るといい」
「だとよ!そんな所で突っ立ってないで、俺達を助けてくれよヒーロー」
“助ける?”俺はそんな必要があるのか疑問に思ったが、自然と二人の背中を追いかけていた。
「ヒーローがいれば百人力だな!なあオルクス!」
「……」
「いやあ、すまねえなヒーロー。コイツは無口な奴でよお」
「いや、俺はお前らの方が強いと思っている。その態度も当然だろう」
「おっとそいつは違うぜヒーロー!」
俺はそのうるさい声に眉をひそめる。
「オルクスがフェブルウスを倒したのは、今までその為だけに修行を行ってきた結果で。俺がヒーローより動きが勝ってたのは、俺があんたの事をよく知ってるからだ。きっと誰よりも…」
「ラスティン…、お前気持ち悪い」
オルクスは少しずつラスティンから離れていく。デュランもそれに続く。
「え!?何だ、何でそんなに離れる、おい!!」
「悪いが俺にそんな趣味はない。さっ先を急ごうオルクスくん」
「“くん”はいらん。行くぞヒーロー」
数刻後──
「何をしているラスティン!!」
「たく、オヤジ!!なにモタモタ走ってやがんだ」
「て、テメェら…」
オルクスとデュランがいる所へ、ラスティンが「ゼェゼェ」息を切らしながら走って来る。
「テメェらが速過ぎんだよ!!鬼ごっこじゃねえんだ」
「ラスティン失言は俺が許してやる。早速だがどれにする」
「はあ?どれにするって…」
ラスティンが顔を上げると三つの扉が通路の真中に立っていた。壁のない所に不自然に立っている扉。オルクスは笑う。