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デストロイヤー
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デストロイヤー 47

フェブルウスの両腕に紫炎が現われると、彼はそれを頭上に掲げ声をあげる。

「ミーティア!!」
その瞬間、フェブルウスの炎は馬鹿でかい紫の球体に形を変えた。目に見える全てのものが紫色に統一され、陽炎が視界を揺らす。そして、それは放たれた。
 球体はゆっくりとオルクスに近付いていく。しかし彼は動かない。球体の光がオルクスを飲み込む寸前、彼は左手の剣を素振りしてそのまま光に包まれて消えた。

「…おい、オヤジ。お仲間助けなくて良かったのか?」
「あん?フェブルウスとの一対一の闘いは命を懸けても譲れねえんだとよ。ホント面倒い奴だ、まぁ一応死んだら俺がフェブルウスを討つ約束はしているんだがな、その必要は、ないだろうな。ほれ」
眉をひそめるデュランの顔を見て、咥え煙草のオヤジは土煙の中を指差した。そこには倒れている人影と、二本の剣を持ったオルクスの影が見えていた。

「ああ忘れてた、俺の名はラスティン。宜しく頼むぜ?“龍戦記の英雄”さんよ」
ラスティンは馴々しい態度でデュランの髪をクシャクシャにすると、煙草を咥えたまま立ち上がってオルクスに手を振った。

「お〜い、大丈夫かあ?」
「ああ、カミールの仇は討った」
「そうか…。おう、紹介するぜい!こちら“破壊神・龍戦記の英雄”こと、デュランさんだ!!」
「コイツがあの破壊神だと…」
「……」
オルクスは目を細めて俺の顔をのぞきこむ。俺が破壊神というのが余程信じ難いのだろう。

「“龍戦記の英雄”か…、気に入らん」
「おいおいオルクス、人の顔見ながらそういう事言うな。すまんなヒーロー、コイツは“龍戦記”って名前が嫌いみたいでな。ヒーローは前大戦が何で“龍戦記”って言うか知ってるか?」
「いや、知らないが。というかヒーローって…」
俺の微妙そうな顔を無視してラスティンは説明を始める。

「龍戦記ってのは南にある“スネーク”って所の出身者が書いた本の名前だ。東西の国はD国以外滅んじまったからな、前大戦の事を本にできる余裕があるのはスネークとD国ぐらいだったわけだ。」
「スネーク…」
「で、スネークが前大戦の事書くもんだから、スネークに偏った本になってんだ。だが心配すんな、ヒーローの事はちゃんと書いてあったからな、“デストロイヤー降臨”てな。がっはっはっはっ」
ラスティンは笑いながら俺の背中を無意味に何度も叩く。

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