鉄塊を握るデュランの手が赤い炎を纏う。すると一瞬で鉄塊の先に炎の刃が付け足され、それはチェインのスーツを斜めに斬り裂いた。
「チッ」
　チェインは怯む事なく反撃にでる。右手に紫炎を集中させると、素早い動きでそれをデュランの胸に当てた。
「消えろ」
　チェインの紫炎が眩い光を放つと、爆発音と共にデュランの体が吹き飛んでいく。地面に落ちた彼の体からは、焦げた臭いと煙が出ていた。

「君に僕ら“カインの末裔”を倒すのは不可能だ、だから僕ら紫炎を持つ者は決して負けない」
　チェインが倒れているデュランに近付くと、彼は跳ね起きて鉄塊を構えた。

「まだやる気なのかい？」
「エリーに会うまでは、負けられねえ！！」
「まったく…人の話を少しは信じて欲しいものですね！！」
　今度はチェインが先に駆けた。デュランはしっかり睨んでいたにも関わらず、チェインの姿が瞬時にして消えた。
(今回は銀の小手がない…さてどうやって戦うか)
　デュランは険しい顔で地面に片手をついた。銀の小手がない為、先の要塞戦ようにはいかない。
「くらえ！！うおおお！！」
デュランの叫び声が聞こえると、彼の手を中心とした真っ赤な円が地面に現われた。地面はひび割れ、その破片が宙に浮く。そして、チェインの体も…

「クッ、体が！！」
　チェインは気付くと巨大な円柱状の空間に閉じ込められていた。その空間内は赤く、デュランのテリトリーとなっている。
　自由がきかないチェインの真上に、デュランは浮いていた。彼は両手で大きな火焔玉を生みだすと、それをチェインへおもいっきり投げつけた。

「特製の火焔玉だ、受けきれるかな？」
　「なめるな！！」
　チェインは両手に紫炎を発生させると、火焔玉をなんとか掴んだ。掴んだまではよかったが、それを投げる事もできず彼はどんどんダメージを受けていく。
　「うがあああ！！」
　チェインの紫炎が膨張した。プラズマをまとったその炎は火焔玉に突き刺さり、最後にはそれを破裂させてしまう。
　「どうだ、これが─」
　粉砕した火焔玉が飛び散る中、デュランが鉄塊を構えて勢いよく落ちてくる。チェインの炎は弱々しくなり、彼自身防御をする気力を失っていた。