デストロイヤー 43
「今の俺なら!!」
宙に炎のイメージを集中させた。それを地面に平行するようにして真っ赤な炎の床を解き放つ。それと同時に凄まじい上昇気流が起きる、俺の体は暫く宙に浮きながらゆっくりと地面に降りていった。
「こんな感じ、でいいのかな?」
俺は真っ黒な崖を背に、コンクリートの通路を走っていった。機械兵器に特化したその道には所々ランプがついていて、暗闇の中俺の姿を照らし出す。
(来る!!)
俺は胸騒ぎがした。その瞬間、爆音と共に物凄い光が俺の真上を通過する。その強烈な光は、夜だと言うのに空を青空へと変えてしまう程凄まじいものだった。
「これは凄い…」
やったのがクリフなのかシェリーなのかは分からない、だが間違いなく言えるのは、“銀の小手”を使ったという事だ。空からプロペラなどの部品が大量に降ってくる。
空を埋め尽くしていた戦闘ヘリは一瞬で消え去った。狙ったのかは定かでないが、指令塔も崩れていっている。
(条件は良くなった、後はうまく侵入するだけだな…、ん?)
先を走っていくと、遠くの方に人が一人立っていた。喪服姿…黒いスーツ…ジェイナス!!
俺は反射的に身構えた、今は銀の武具がない、実力勝負だった。スーツの人物も俺に歩いて来てるようだ、どんどん近くなっていく。
「君が…破壊神デュランかな?はじめまして、チェインと申します」
「ジェイナスじゃない…、奴の仲間か?」
「…まあ、所属が一緒なので仲間と言えばそうなのかもしれませんが、仲は良くないですね」
喪服の男は服と対象的な白い髪をしていた。右手からは常時紫炎を出していて、いつでも戦える状態だ。
「そこを通せ、今の俺は…すこぶる機嫌が悪い!!」
俺は鉄塊を握ると地を駆ける。チェインはそれを身構えもせずにただ待っていた。
「馬鹿にしやがって、くらえ!!」
「そんな間合いじゃ当たりませんよ」
チェインはゆっくりと片足を下げて攻撃を避けようとした。このままいけばデュランの鉄塊はかする事なく過ぎ去っていくはずだった…