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デストロイヤー
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デストロイヤー 40

「ホントにいるのか?」
閑散とした建物たちの中、一つだけ妙な気配のする廃屋があった。人でもいるのだろうか?俺はゆっくりとその廃屋へ歩いて行く。
廃屋に近付く程、自分に向けられている殺気が強くなってきた。“誰かいる”俺はそう確信した。短剣と鉄塊を手に握ると、俺は扉を開きその廃屋に足を踏み入れた。

それと同時に二本の剣が俺に振りおろされた。

『デュラン!?』
俺の名を呼ぶ声がした。二本の剣を受け止めていた、短剣と鉄塊に込められていた力も自然と和らいだ。
「クリフ、シェリーなのか?」
俺が呆然としていると、背の低い方が俺の顔に殴りかかってきた。きっと殴られるべき場面だったのだろう、しかし俺は反射的にその拳を掴んでしまった。拳から電気が走り、少し痛い。

「エリーを置いてどこ行ってやがった!!」
シェリーは何やら怒っている様子だ。意味の分からない俺はクリフに目をやったが、彼も彼女と同様、怒っていた。

「何を怒ってんだ!!説明しろ!!」
「この“街”の建物たちを見ろ!!お前は何も感じないのか!!」
 シェリーはこの廃屋しかない草原を“街”と呼んだ。俺はシェリーの腕を払うと、廃屋の外にでて屈んでみた。草をかきわけ地面見る、するとそこには石畳でできた道“だった”物が存在していた。
「これは…」
石畳を触っているとクリフが俺の後ろで話しはじめた。

「デッドカントリー…国名が酷過ぎると先代の王が“D国”と改名したが、結局は元の名にふさわしい国となってしまったな…」
「D国!?」
「そうだ、丁度お前がいなくなった頃にこの国はD国と改名された」
「もしかして、ここが…エリーと過ごした街、なのか?」
クリフは無言で頷いた。知らなかった…今まで旅をしてきたが、全て“暇つぶし”としか考えていなかった俺は、国の名前さえ気にしていなかったようだ。

「何でこんな荒れ果てているんだ?」
「それは…」
「“黒い天使”がやったのさ」

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