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デストロイヤー
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デストロイヤー 39

ヴァレラが出て行ってすぐだ、グレイが部屋に入って来た。なんだか気まずそうな顔をしている。

「よ、よお、体の方は大丈夫か?」
「見ての通り大丈夫だ、それより調べてほしい事が──」
「“天使”の事、だろ?」
グレイの問いに、デュランは真剣な顔をして頷く。デュランの眼差しに対してグレイは首を横に振った。
「グレイ、お前もか…」
「それは違う!!」
「じゃあなんで隠す!!」
「天使はいなかったんだ…、お前の近くにいたのは実験でボロボロになった被験者だけだ」
「会わせてくれ!!エリーに会わせてくれ!!」
デュランの願いに、グレイは俯くと小さく頷いた。
「…会わせてやる、ついて来いよ」
グレイが出口に向かうと、デュランはベッドから降りてその後を追う。
デュランは本部の中心、ヴィクターの元へ連れて行かれた。グレイが前に立ち一礼すると白い扉が現われる、グレイがそれを開けるとデュランに入るように手招いた。
「この先は下界だ、そこに彼女はいる…」
「ありがとうヴィクター…、行ってくるグレイ」
グレイは無言で手を振った。デュランはそれを見ると恐れる事なく扉に飛び込んだ。


デュランは光に包まれる、それが消えると目の前には青々とした草原が広がった。

(帰ってきたのか…、あのグレイの手際のよさ、ヴィクターのおっさんはエリーの事を知ってて、わざと俺にあの任務を当てたようだな…)
腰のポーチから煙草を取り出すとそれに火をつける。デュランのいる草原には、ボロボロの家がいくつか建っていた。
「あるのは廃屋だけか…、よっし!!虱潰しといきますか!!」
俺は煙草を掌の炎で焼き尽くすと廃屋へ走った。グレイの言葉からエリーの見るに堪えない姿が想像できたが、俺は“会いたい”という自分の欲求を抑えられないでいた。

「エリー!!」
一つ、また一つと廃屋の様子を覗きみる。だがエリーは見つからない…、調べる廃屋の数が減っていく程、俺は不安にかられていった。

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