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デストロイヤー
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デストロイヤー 36

デュランは隠れていた部屋を出ると、破壊された壁を越えて丸い扉の前に立つ。扉を開ける把手やパネルは見当たらない。

(どうやって開けるんだ?)
眉をひそめデュランが扉に顔を近付けると、それは急に回転し始めた。ガチャガチャと連続的な機械音が鳴り、中心から少しずつ扉の向こうの景色が見えていく。
(キーのない自動ドアね…重要施設の入口にしては警備が疎か過ぎやしないか…考え過ぎか?)
デュランが難しい顔をしている間に、研究施設の扉は開ききった。中には赤いランプもなく、暗闇の中にうっすらと緑の光が見えていた。
「…まあ罠だとしても、任務は変わらないか」
デュランは腰から鉄塊を抜くと、それを空中で回して握りなおした。
研究室内には緑の液体の入っているカプセルがいくつも並んでいる。一つ一つのカプセルに“翼をもった人”が裸で浮いていた。

「天使、だよな…」
カプセルの中にいる天使達は目を瞑って眠っている。今いる所が“人工生物”の研究施設であれば、この天使達は被験体である可能性が高い。開かれる眼球は真っ黒に染まっているだろう。
(今の内に消し去っておくか…)
デュランが部屋を見渡していると、一つのカプセルが目に止まった。
中の天使は黒い髪が美しくなびいていた、どこかで見た事のある顔だった、手には銀のペンダントが握られている。

「何だよこれ…」
デュランは胸騒ぎがした。自分の胸元を探ろうとするが、“それ”はなかなか見つからない。デュランが“それ”を見つけたのと同時に彼は思わず膝をついた。

「エリー、なのか…」
天使の握っているペンダントと、自分の身に着けているペンダントが同じだった。それはエリーのくれた御守り、銀のペンダント…

「…誰がこんな事!!」

「ラル・バーストだ」

デュランの体が怒りに震えている時、彼の後ろから嫌な声がした。

「そんな事も知らないで俺達に戦いを挑んでいたのか?デュラン」

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