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デストロイヤー
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デストロイヤー 35

ジェイナス…、半世紀以上前にデュランが倒した男、死んだはずの男。それがデュランの前に立ちはだかっていた。

「この黒いスーツ、格好いいだろ?D国のエリート戦士の証だ、俺は強くなった、今のお前なら…、瞬殺だ!!」
ジェイナスの姿が消えた、するとデュランは一定の間隔を空けて打撃をくらっていく。右から左から、あらゆる方向から重い打撃が飛んできた。
(チッ速過ぎて防御もできない…、こうなったら!!)
デュランは攻撃がひいた隙に両手を床についた、銀の小手に光が集まり、膨張するとそれは大爆発を巻き起こした。

──ぐらついた壁の破片が雲の中へ落ちて行く。D国の要塞は、巨大な化け物にかじられたような姿になっていた。要塞は少しずつ崩壊していく。その瓦礫の中にデュランは身を潜めていた。

「今回の任務、人工生物のレポート回収だったな…」
空を見上げるデュラン、そこには半分燃えた紙などが紙吹雪となって舞っていた。デュランは思わず溜め息をついた。
人工生物のレポート回収、要塞陥落に加え極秘任務としてそれを命じられていた。勿論オルガはその事を知らない。紙吹雪が舞い散る中、デュランは不安ながら要塞内部へと入って行く。
電気はついていない、先の爆発で配線が切れたのだろう、窓も無い為暗かった、非常用のランプだけが赤い光を灯している。音は全くない。
(ジェイナス…、この分だとまだ生きてるな、レポートを回収して早く脱出しないと)
デュランは赤い通路を走っていく、途中部屋が幾つかあったが、それは無視していた。彼が目指すのはあくまで研究施設、それだけだった。
作戦開始前にもらった資料。そこには“研究施設の扉は丸い”とだけ書かれていた。デュランはそれを目指して走り続けたが、結局丸い扉を見る事なく、行き止まりに来てしまった。
「たく、情報が少な過ぎるんだ、何だこの壁はよ──」

ピキッ

デュランが壁に触れようとした瞬間だ、壁に無数の亀裂がはいり、それは吹き飛んだ。壁の崩れた場所には喪服の男が立っていた。
「どこに行きやがった」
喪服の男はジェイナス。デュランの起こした爆発の所為だろうか、左頬の傷から血が流れている。彼は舌打ちをすると、黒いグローブから紫の炎を出してその場を去って行った。

数刻後、一つの扉がゆっくりと開いた。そこからひっそりと姿を現わしたのはデュランだった。
「馬鹿力め…、まぁお陰で入口見つかったけど」
デュランが破壊された壁の向こうに目をむけると、探していた丸い扉が顔を見せていた。

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