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デストロイヤー
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デストロイヤー 34

「こっちだよ“マヌケ”」

後ろから声がした。振り向くと2人の天使は窓から落ちていた。2人の腹には靴の跡が焦げ付いていた、その部分の黒い鎧は砕けて穴になっている。

割れた窓の前には手をはたくデュランがいた。銀の具足からは炎が出ていたが、それはすぐ消えた。
「この高さからだったら即死だな…、て人工生物だったっけ─」
デュランが窓を見ていると、先程蹴り落とした黒い鎧の天使2人が、笑って上がってきた。
(そうだよな、背中の翼は飾りじゃないもんな、ハハハ…)
不気味な笑みをうかべる天使に対し、デュランは苦笑いをしていた。天使達が剣を構えてデュランに斬りかかる、デュランは鉄塊でそれを受け流すと、すれ違い際に彼らを炎で包み込んだ。
「地獄の業火の味はどう、だい…」
デュラン苦笑いは続いていた、天使が炎をまとったまま笑っているのだ。鎧が溶け、剣が溶けても彼らは笑っていた。
天使は炎でドロドロになった腕をデュランに伸ばすが、それは届かぬまま床に落ちていった。目の前で灰になっていく天使を、デュランは力のない目で見ている。

「天使というか、悪魔だろ?」

デュランの後ろから誰かが声をかけた。聞いた事のある声、嫌な声だった。
「ジュリアちゃんは元気かい?」
「お前こそ元気だったか?…ジェイナス」
デュランが振り返ると、喪服の男が一人そこにいた。男の瞳は黄金色で、人の物には思えない程綺麗だった。デュランは鉄塊を腰から抜くと、相手をじっと睨みつける。
「そんな怖い顔するなよ、旧知の仲じゃないか、それに……、恨みがあるのは俺の方だぜ!!」
ジェイナスと呼ばれた男は叫びと共にデュランへ殴りかかってきた。それを鉄塊で防ぐデュラン。
ジェイナスの拳が鉄塊の側面を物凄い勢いで突いた。デュランは鉄塊を構えたまま後ろ向きに吹き飛んでいく。デュランの背中が床についた時、どういう事かジェイナスが先にそこに立っていた。
「さあ立て!!一気には殺さねえ、ジワジワ殺してやるよ!!」
ジェイナスはそう言うとデュランの顔を踏みつけようとした、デュランは素早くそれを避けると、跳ね起き再び鉄塊を構える。
「何で生きてんだ、死んだはずだろうが!!何の冗談だ、ジェイナス」
「死ぬ?俺は死なねえ、お前をこの手で殺すまではな!!」

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