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デストロイヤー
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デストロイヤー 33

何だか嬉しかった、オルガの記憶が戻った訳じゃない。でも、昔のオルガが少し戻ってきた気がした。俺はゴーグルをつけると軽く手を振った。
デュランの乗っている機械は物凄い速さでワイヤーの上を進んでいく。風が強くてゴーグルなしでは目も開けられなかっただろう。
ワイヤーの上を進む事30分…
スピードは落ちてないが未だ要塞に着いていない。その距離にも驚くが、このワイヤーを島まで投げたオルガの肩に感心した。
(筋肉質ではあったが、ここまでとはな)
風が妙に痛い。最初、ワイヤーを走る機械が火花を散らしてる所為だと思ったが、突然ゴーグルが割れた事でそれに気付いた。
「いてぇな…」
デュランの手には矢が握られている。ゴーグルを割ったのはその矢だった。よく見てみると服も所々切り裂かれている。
「バレちまってたのか?」
俺は腰につけたポーチから望遠鏡を取り出す。スイッチを押してズームにしてみると、弓を構えた天使達がこっちを狙っているのが分かった。
状況は袋の鼠。ワイヤーを走る速度が速い為、敵の数を把握するのが困難だった。
デュランの左手は、常に機械から出ている把手を握っている状態。片手でビームを撃つにも、その破壊力故の反動が、デュランを地獄の底へ突き落としてしまうのが、容易に想像できた。
悪夢はそれだけに終わらなかった。ワイヤーが妙な揺れ方をしていた、奇妙に思ったデュランはワイヤーの先を望遠鏡で拡大して見た。
「勘弁してくれよ…」
大男の握るチェーンソーから火花が散っていた。それがワイヤーに触れる度にワイヤーは揺れる。
「!!」
デュランが丁度それを見た時、鈍い大きな音と共にワイヤーが断ち切られた。ワイヤーは一度高い波をうつと、力なく落ちていった。デュランの乗っていた機械も勢いを増して落ちていった。


─D国側要塞─
要塞の中から黒い眼球を持つ天使たちが窓の外を覗きこむ。敵がいないのを確認すると少し歩いてはまた窓をみる、その作業が繰り返されている時だ、防弾ガラスでできた窓が突然一枚割れた。
音に反応して2人の天使が割れた窓に剣を構える。しかしそこに侵入者の姿はない、2人は割れた原因をつきとめるべく窓に寄っていく。
窓の外を見てみるも、誰もいない…

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