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デストロイヤー
その他リレー小説 - ファンタジー

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デストロイヤー 32

「知らん、それよりヴァレラ、今日はデートをすると─」
「知らん」
グレイが言って、オルガが即答すると、オルガの問いにヴァレラも即答する。それはまるでコントだった。
「休憩室でまで言うか、しつこい奴だ、ついてくるなよ?」
ヴァレラは眉間にしわを寄せるとそこを出て行った。オルガは暫く黙って立っていると、震え始めヴァレラの後を追いかけて行った。
「ははは、何だありゃ」
不快だった…。どう考えてもさっきの2人は昔の戦友だった、それなのにオルガは知らないと言った。自分は覚えてるのに相手は覚えていない…。煙草の灰が少しずつ積もっていった。

「もしかしたらデュランの言うように彼らはお前の友人なのかもしれない…、この世界は不思議な世界でな、下界から来た人間は時がゆっくり進む、でもその代わり、どんどん下界の記憶が失われていくんだ」
「だから俺を見ても…」
「まぁそう考えるのが妥当な所だな、天使って言っても翼がない奴もいるし、下界から来た事を忘れて自分が天使だと思いこんでる奴も少なくないさ…」
グレイは何かを思い出したように立ち上がる。
「しまった!!、作戦会議あったんだ、俺はこの辺で失礼するよ、じゃあまた」
走り去っていくグレイの背中を見つめるデュラン。そこに“翼”というものは付いていなかった…。

(クソッ明日も要塞攻めだってぇのに、気になる…)


翌朝、デュランは再び要塞攻めを始めた。相手は“人工生物”、昨日と同じ黒い目を見るだろう事は予想している。でも昨日とは違い今日は1人だけ助っ人がいる、オルガだ。機嫌は…、良くないらしい。
(ヴァレラにでもフラれたのか?…まぁいい、集中集中)
デュラン達は小さな浮き島にいる、周りは雲。下に落ちれば死は免れないだろう。作戦はオルガが敵要塞にワイヤーを投げ、デュランがそれに乗って襲撃するというものだ。
「敵にさとられないにはこの距離と人数が限界らしい…、俺はここで待機し飛空挺を死守する、お前は必ず要塞を落とせ」
そう言うとオルガは鉤爪の付いたワイヤーを要塞のある島に放った。それはどんどん伸びて島にかかる。彼がワイヤーの張り具合を確かめると、デュランは特殊な機械をワイヤーに取り付け、それに飛び乗った。
「死ぬなよ…」
オルガのなにげないその言葉は、デュランに少しだけ笑顔を与えた。

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