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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 91

彼女は自分の血を真の口内に流し込み、人魚の治癒力で彼の傷を癒したのだ。
(まったく、世話になりっ放しだな。情けねぇ……)
だが同時に嬉しくもある。
セドナは最大限の危険を冒して真を助けにきた。こんな情けない真でも必要としてくれているからだ。
真は少し身体を離し、セドナの全身を捉える。
久々に見たセドナの人魚姿はやはり美しい。
思えば、真は初めてこの姿を見た時からセドナに惹かれだしたのだ。
「帰りましょう、真」
(ああ……そうだね)
セドナに手を引かれ、真は海面に浮上していく。
無事生還した二人を待っていたのは、仲間達の笑顔だった。


ルルイエ海上の決戦から数日後、真たちのレディ・セドナ号はオーストラリアに帰還した。
「くぅぅ〜っ! 久々の地面はいいなぁ。無事に帰って来られてマジで嬉しいぜ!」
大きく伸びをしながら言う真に隣りのワルドが同意した。
「まったくだ」
「それにしても、こう降りて見てみると酷いもんだ」
荒が言うのは船の事だ。真たちがついさっきまで乗っていたイージス艦、レディ・セドナ号は、ルルイエ海上での戦闘でボロボロに破壊されていた。降りて見てみると、損傷の酷さがよく分かる。
「でも修繕できない程度ではないから……また海に出られるわ……」
「あ、そうしたらまた乗せてくれますか?」
「ええ……約束するわ」
「はい! 約束です!」
セドナは満面の笑顔で早苗の手を取り指切りした。それをカリンが羨ましそうに見ていたので、苦笑しながら彼女とも同じ事をする。
「いいねぇ〜。オレも乗りたいなぁ〜」
「やだ」
便乗しようとしたアクセルを早苗はバッサリ切り捨てた。アクセルは大袈裟にのけ反る。
「シキミン、なんで早苗ちんはオレにだけ厳しいかなぁ?」
「軽過ぎるからだ」
シキミにも即答され、アクセルは再びのけ反る。ドッと笑いが起きた。
そうして談笑しながらターミナルに入る、すると一行の前に黒服の若い女が現れた。
「げっ、リュシカ!」
「なによその反応。私に会うのがそんなに嫌?」
アクセルの反応にリュシカと呼ばれた女は不満を露にした。
真はリュシカの胸にロザリオが下がっているのを見てアクセルの肩を叩く。
「その人もしかして……」
「そ、オレの同僚」
「リュシカです」
リュシカは真と握手を交わした。
「それで、なんでお前がここに居んの?」
「新しい任務よ」
リュシカはアクセルに書類を渡す。表紙にはセフィロトツリーが書かれていた。
「それからシキミ。あなたには帰還命令が来てるわ」

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