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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 92

「カジか、だが俺でもまだアレには・・・」
「わかってる。だけどジャンヌが弱ってる今、襲撃される可能性が高いの」
リュシカの言葉に軽くため息をつく。
「・・・わかった、久しぶりに帰るとするかね」
やれやれと少し嫌そうに返事を返した。
「シキミン帰んの?じゃ、俺も・・・」
「貴方は任務があるでしょう」
手をあげようとしたアクセルに冷たい言葉が突き刺さる。
「任務ったって枢機卿の奴らのしり拭いじゃんよ〜嫌だぜ俺、アイツら大したことしねぇクセに偉そうなんだもん」
アクセルが口を尖らせブーブー文句を垂れる。
「・・・本部に減給を要求するわよ?」
「はい!!アクセル喜んで任務を遂行いたします。!!」
「よろしい」
あー・・・と悲しげな声を出しながら肩を落とすアクセル。
「なぁ任務ってなんなんだ?」
興味本意でアクセルに聞いてみる。
「あぁ・・・秘密なんだけどね・・・」
チラリとリュシカを見てシキミと話している事を確認する。
「『罪人』(とがびと)の動向調査」
「『罪人』?」
「そう『罪人』。つっても中には教会に協力しないからってだけでそう言われる奴もいるけどね」
余程の秘密事項なのかかなり小声で呟く。
「罪人で代表的なのをあげると『切り裂き魔ジャックザリッパー』『怪僧ラスプーチン』『陰陽師芦屋道満』『仙人左慈』なんかがそれだ」
他にもいろんなのがいるけどな、と言いながら続ける。
「ただ全員に言えるのがそれぞれ、俺達と同程度かそれ以上の力があるって事だ」
しかも中にはカジに賛同している奴もいる、神妙な面持ちでそう言うとゆっくりと伸びをした。
「まぁそんなとこだ」
「ふぅん。おれが師匠に聞いた”魔人”ってのと似てるなぁ」
魔人とは、退魔の鬼児に生まれながらヒトに仇為す存在に堕ちた者たちのことだ。そういう意味では今回斃したユリウス達も魔人である。
「まぁ、同じだよ。俺にとって問題なのは”教会の敵”だけなんだけど」
「そういうもんか?」
「そういうもんだよ。真っちゃんだって自分と関係無いのと関わる気なんて無いだろ?」
「確かに」
「つまりそういうこと。この話はお仕舞い。リュシカ〜そろそろ行こうぜ〜!」
アクセルは大声でリュシカを呼んだ。彼女は真っ赤な顔で振り向く。
「な、なんで私があなたと一緒に行かなきゃならないわけ!?」
「あのなー、次の任務はお前とのコンビなの。聞いてるでしょー」
「う、仕方ないわね。任務だからよ。そうじゃなければ誰があなたなんかと……」
「あぁ……なんかこのリアクションどっかで見たような……」
リュシカの性格があまりにも誰かさんに似ていたので真は眩暈を覚えた。
「俺たちはここでお別れかね。またどこかでな」
「またなー」
シキミとアクセルはメンバーに別れを告げ、リュシカと共にターミナルの出口の方へ向かった。

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