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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 93

「さてと、俺もそろそろ行くか」
スーツの上着を肩に回しながら荒が立ち上がった。
「荒も行くのか」
「あぁ、一仕事終えたからな。帰ってゆっくりさせてもらうとするさ」
煙草をくわえると首をゴキゴキと鳴らす。
「そうですか・・・寂しくなりますね・・・」
「ハッハッ・・・連絡入れたら飛んで行くから心配すんなって。それにこれ以上一緒にいたら馬に蹴られそうだ」
言葉の意味を聞き、顔を赤くするセドナにハッハッハッ・・・と笑いながら煙草を口から離す。
「結婚式には呼んでくれよ」
「あんまりからかうなよな……」
恥ずかしくて死にそうな思いで真は言う。すると荒は真摯な顔つきなった。
「悪かったな。だけど本当に大事にしてやれよ。その子は今回のことでいろいろ無くし過ぎたからな」
「わかってる」
「良い目だ」
荒は真と初めて会った時のことを思い出す。
もう何年も昔の事に思えた。
「また会おう。今度はお互い平和な時に」
「うん。荒も頑張って」
「お元気で」
「ありがとよ」
荒は真たちに背を向けて歩き出す。
真たちは彼の背中が見えなくなるまで見送った。
「私たちも……帰りましょう……」
「ああ、高志郎たちが待ってるもんな」
早苗の言葉に真は頷く。
「ところで、その娘はどうするのだ?」
ワルドがカリンを見て問う。
「私が……引き取るわ」
「ちゃんと面倒見られるのかよ〜?」
「失礼な。彩華を拾ったのは私ですのよ」
怒ったのか、早苗の口調が本気モードにシフトする。
叩き付けられたプレッシャーに心底ビビった真は急いで謝った。
「カリンちゃんのことはこれでよし。あとは……」
皆の視線がセドナに集まる。
彼女は何かを言いたそうに真を見つめる。
「あの……」
「セドナ」
言いかけたセドナを真が遮る。
大好きな優しい笑顔。
「一緒に……行こう」
沈黙。
真は優しくセドナを見つめ、セドナは驚いたように真を見る。
視線が重なる。
「…………はい。一緒に、行きましょう!」
セドナは力強く頷いた。
微笑みを浮かべ、彼らは歩き出す。
真とセドナはさり気なく隣り合い、互いを求め合うかのように固く固く手を繋いだ。

絶対に離さない。


   〜Fin〜


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