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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 10

おれは岩に隠れながら、銃でデカい方を足止めした。
互いに決定打に欠け、状況は膠着した。
いや、弾薬には限りがある。おれか、それともあっちの人形か。先に尽きた方がきっと負けだ。
おれが先じゃなければ勝ち目はある。そのための作戦だからだ。
河で戦い始めてから二十分程が経過したあたりで、おれの弾薬が尽きた。
「くそぅっ!」
おれは舌打ちする。
デカい方の人形が銃弾の戒めから開放され、セドナちゃんの方に詰める。
ヤバい。いくら人魚でもマシンガンを躱しながらあいつの相手はできない。
おれはなりふり構わず岩の陰から跳び出し、河に入った。
「こっちだ、デク人形!」
目立つようにわざと声を張って、派手に動きまわる。
マシンガンの銃口がおれの方に向いた。そうだ、それでいい。たったそれだけでも、セドナちゃんが逃げる隙くらいにはなるからな。
「真さん!」
セドナちゃんが水から顔を出して叫ぶ。
おいおい、おれなんか見捨ててさっさと逃げろよ……
「……バカ」
マシンガンが火を吹く。連続的な銃声がやけに遠く聞こえた。
おれはなすすべなく銃弾の雨を浴びた。
痛みは無い。崩れ落ちる身体がどこか他人ごとのように思えた。
誰かがおれを呼んだ気がしたけど、それを考える暇も無い。
意識は闇に墜ちた。


ピチャピチャ
湿ったなにかが顔に当たる。
ピチャピチャ
生暖かくてくすぐったい。
ピチャピチャ
(鬱陶しい)
ピチャピチャ
(やめろって)
ピチャピチャ
(お願いだからもうちょっと寝かせてくれ)
ガブッ!
(がぶ?)
「〜〜っ! 痛ぁーー!」
鼻の痛みに驚いておれは身を起こした。
「目が醒めたか」
とか吐かしてるのはワルド。
コイツ、鼻に噛み付きやがったな!
「なにすんだ!」
「主が起きんのが悪い。ずっと顔を舐めていたのだぞ」
「あ」
おれは今になって自分がどうなったのか思い出した。
「助かったのか、おれ?」
「ああ、ギリギリだったがな」
「なるほど、じゃあおれが撃たれた直後当たりで作戦が成功したんだな?」
「うむ」
作戦。列車の中でワルドが授けてくれた人形使いを倒すための策だ。
まずおれ達は強引にでも列車を止めて地の利のある森に逃げ込む。
次にワルドが先の様子を見に行くフリをして別行動する。この時ワルドはさりげなく水場の方向をおれ達に教えていた。ちなみに初めての森で見てもいない水場を探せたのはワルドのよく利く鼻のおかげだ。
最後におれ達が人形を引き付けている間に別行動のワルドが術者を始末する。
これが作戦の大まかな内容だ。
急拵えで不安要素もあったけど成功して良かった。
「だがどうする主。綱渡りのまま人魚の里を奪還するわけにもいくまいに」
ワルドが呟く
「そりゃぁそうだけれども・・・」
実際、先程のセドナちゃんの戦闘能力を持つ人魚の里を抑えるほどの戦力相手にワルドと自分、セドナちゃんの二人と一匹では心もとない
せめてもう二人か一人戦力欲しいところではある
「どうしよっかな〜・・・」
真がそう呟き天を仰いだ時だった
「主・・・足音がする」
ワルドが呟いた
「な・・・増援か?」
「そんなもの呼ばせるヒマは与えなかったのだが・・・」
草影に隠れながら小声で声を交す
そうする間に真の耳にも足音が聞こえてきた

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