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Beast Master“真”
その他リレー小説 - ファンタジー

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Beast Master“真” 11

「セドナちゃんの可能性は?」
「近くに川があるのにわざわざ歩く人魚がいるとでも」
いるわけがない
「それに『魔』の臭いがする」
ワルドが鼻を動かし呟いた
「ワルド、やれる?」
「主の命令なれば」
ワルドが頷くとほぼ同時にワルドが飛び出した
唸り声をあげ標的に飛びかかるワルド。そしてそれに続くように真の拳銃が火を吹く
が、攻撃がヒットした瞬間標的の姿がヒトガタの紙が貼られた丸太に変わる
「『変わり身』!?」
「主!!」
ワルドの叫びを聞くと同時に真の首筋に冷たい刃物の感覚が押し付けられた
冷や汗が額を流れ落ちる
「おおっと動くなよ、そこの狼も動くな」
真の鼻を煙草の香りが擽る
「この国じゃ魔術師が追剥をするのか、世も末だな」
溜め息混じりの声が聞こえる
「ちょ、違う!!俺らは追剥なんかじゃない!!」
「あ゙?」

「なんだ、追剥じゃねぇのか」
事情を説明して首筋に当てられた段平を収めてもらい、何とか会話に持ち込んだ真に男が言った
黒いスーツ姿に煙草をくわえた、眼帯をしている事を除けば見た感じは普通の男なのだが・・・
「せっかく後顧の憂い無く殺戮の限りを尽くせると思ったのに」
やれやれと煙草の煙を吐く姿は少々恐怖を覚える
「で、話しを聞く限りじゃその人魚の里とやらを救いに行くとか」
そう言うと手を出した
「出すもの出してくれりゃ手伝ってやるけどどうする?」
「あんた、名前は?」
「荒だ。ほかにもハロルドとか虎之助とか呼ばれてるが、荒が一番通りがいい」
「わかった雇う」
真は名前を聞くと即決した。ついでに財布から何枚かの紙幣を取り出して荒の手に握らせた。
あまりの思い切りの良さにワルドですら呆気にとられ、荒も口をあんぐり開けて驚いた。咥えタバコがポロリと地面に落ちる。
「お、おいおい。幾らなんでも決めるの速過ぎやしねぇか兄ちゃん!?」
「勘違いするなよ。雇うのはとりあえず街に着くまでだ、その金は街までの報酬。あんたが信用できるかどうかまだわらないからな」真は言いながら荒を睨んだ。
荒はそれを受け流そうともせず真っ向から受け止める。
しばしの沈黙のあと荒は笑った。
「いいぜ。その依頼受けた。本当ならこの程度じゃ街まで足りないんだが、個人的にあんたが気に入ったからサービスしとく」
「交渉成立だな」
真が手を差し出すと荒はそれを握った。
「さてそうと決まれば早速出発だな。ワルド、セドナちゃんは?」
助かったのはいいがさっきから姿が見えない。いろいろあって気が回らなかったけどそばにいてくれないとなんとなく落ち着かない真だった。
「安心しろ。セドナは水を飲みに行った。だいぶ出血したからな。水分をとらぬと危険だ」

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