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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 71

黒い塊に光る二つの眼をもつそれの大きさはイージス艦とほぼ同程度、真や早苗、アクセルは見たことがあった為あまり驚いていないようだったが、荒やカリン、ワルドはその存在に驚きを隠せずにいた
「主…」
「あ、ワルド、耳塞いでた方がいいかも」
「なに?」
真の言葉が早いか『歪』と呼ばれた黒い塊が大きく、そして聞いたこともないような声で鳴いた
「うわっ!!うるせ……」
荒が耳を押さえていると
「歪、『因果逢砲』」
シキミが右手で前方を指差し呟いた
シキミの指示に従うように歪は大きな口を広げた
瞬間、歪の口から黒い光が放たれる

一瞬の静寂
そして前方を黒い爆発が包み込んだ
「うーわ、うーわ、久しぶりにみたけどシキミン容赦ないなー」
ポッカリ穴の空いた前方の海を見てアクセルが呟いた
「スマンな、全力を出すのは久しぶりなもので手加減が出来なかった」
消し飛ばした深きものどもに謝罪を述べるシキミだった
「外に出ましょう」
言うや否や、早苗は会議室を飛び出した。
真たちもそれに続き、甲板に出た。
「凄いなこれは」
外の惨状を見て荒が呟く。海には歪の攻撃の余波で死んだ
深きものどもがそここに浮き、腐臭を出している。はるか東の空には黒い何かが蠢いていた。
どこから取り出したのか、早苗が双眼鏡を覗き込み東の方を見る。
「海には船、海中には深きものどもとダゴン、空にはシャンタク鳥、大盤振る舞いですわね」
「シャンタク鳥?」
「異形の化け物鳥だ主。像よりも大きな身体を持ち、馬のような頭。身体は羽毛ではなく鱗に覆われている。厄介だぞ」
ワルドの説明を背中で聞きつつ、荒とシキミは険しい顔で東の方を見ていた。
「圧倒的な数的不利、ということは」
「まず頭を狙うのが鉄則」
「だな」
「頭は真っちゃんと早苗っちに任せるぜー」
アクセルが勢いだけで勝手に作戦を決める。だが全くの間違いというわけでもない。その証拠に早苗が頷いた。
「ええ。ユリウスは真とワルド、ナイは私が斃します。皆さんは船を」
「あれから死守しろってか、お嬢様は厳しいな」
とは言うものの、荒の口元は笑っていた。物凄く楽しそうである。
「さて、いっちょ大暴れしてやるかーー!」
「お前はいつもそうだろうが」
バンカーファングをブン回して張り切るアクセルの横でシキミがため息を吐いた。
その間、彼らが何かアイコンタクトをしたのには早苗だけが気付いた。

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