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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 70

全員が良い返事を返し、早苗は満足そうに頷く。
「よろしいですわ。では作戦会議を開始します。まず始めに私達の勝利条件と敗北条件を整理しましょう」
「ラムレイ教団の目的は旧支配者クトゥルーの復活。こっちの目的はそれの阻止、といったところか」
荒がそれぞれの目的を整理し、それを受けて真が条件を見出す。
「となるとおれ達の勝利条件は龍の涙の奪回と教団の殲滅?」
「そうそう。でもって、クトゥルー復活したら即ジ・エンドなわけよ。これが敗北条件」
「こちらがやや不利か。話に聞いた秘宝の性質を考えるに、海底にそれを沈められただけでも邪神は復活しかねない」
シキミの言葉に早苗が頷く。
「私達は確実に秘宝を取り戻さなければならない。艦戦ではなく白兵戦に持ち込むしかないでしょう」
相手の船を沈めては秘宝も海に沈んでしまう。そうならないように確実に秘宝を押さえる必要があった。
「白兵戦になったらおれとワルドがユリウスの相手をするよ」
「大丈夫なのか?」
荒をはじめ一同が心配そうな顔をした。もっともただ純粋に真の身を案じているのはセドナだけのようだが。
「魔術師としてなら書の力なしでも真っちゃんより上だしなー」
「絶対防御もあるんだぞ」
アクセルと荒から厳しい意見。それでも真は意見を曲げない。
「大丈夫、だと思う。絶対防御もなんとかするさ。それに、龍の涙はおれがこの手で取り戻したい」
「結局そこか」
「あの、そのことなんですけど……」
今まで聞くほうに徹していたセドナがおずおずと手を挙げる。
「真の言葉は嬉しいです。けどいざとなったら私よりも世界を取って下さい」
「龍の涙を破壊しろ、と言いたいのですね?」
「はい」
セドナの言葉に全員が言葉を失う
「セドナンはそれで良いの?」
静寂の中アクセルが口を開く
「……はい」
力強く、それでいて悲しい決心だ
「……そっか」
アクセルがそう言った時だった
「…来る」
シキミの言葉と同時に船の近くで水柱がたった
「なっなんだ!?」
甲板に出た真達の前に無数の『ダゴン』と数えきれない程の深きものが大挙して押し寄せてくる様子が見えた
「あの数……」
「敵も本気のようですわね」
早苗が敵を迎撃するため魔力を込めようとする
「っと待った。早苗は真達と敵地に乗り込むんだ、こんな所で魔力を消費することはねぇ」
早苗を手で制するとシキミが一歩前に出た
「シキミ…」
「まぁ…イージス艦を護衛するってのも変な感じだな」
そう言って苦笑すると右足で軽く二回地面を叩いた
「出てこい」
するとそれに呼応するかのようにイージス艦の前方の海が大きく揺らいだ
「『歪』」
瞬間、揺らぎの中から巨大な黒い『モノ』が出てきた
見た目と海という場所からしてまるで海坊主である

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