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Beast Master“真”
その他リレー小説 - ファンタジー

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Beast Master“真” 69

「いてぇ!!」
ある意味かなり良い音を響かせた頭を押さえる
「話をはぐらかすな」
「………」
シキミの言葉に頭を自分で撫でながらビーチチェアに座る
「『竜の涙』…奪還もしくはその破壊が俺の任務………だったんだけどね〜」
そう言うとだらしなくビーチチェアに寝転がり腕をダラリと下げる
「あんなん見せ付けてくれちゃったりしちゃったりなんちゃったりしちゃったりしてさ〜……仕事やりにくくなること受け合いだぁねぇ〜」
空を仰ぎながら長いため息を着く
「ほぉ、お前からそんな言葉が聞けるとはな」
シキミが線香吹かしながら意外そうな表情を浮かべる
「まぁ、俺も大人になったって事かな?」
先程までの雰囲気はどこかへ吹っ飛ばし、直ぐ様いつもの調子に戻る
「……まぁ本部の命にとやかくは言わないが、どうするかはお前の勝手だ」
「やれやれ、この良い子のアクセルちゃんが任務を放棄するとでも?」
そう言うアクセルにシキミが少しだけ冷たく鋭い視線を見せる
その視線を真っ直ぐ見るとアクセルがおどけるように肩をすくめた
「……ま、お前の好きにすることだなアクセル」
 
 
出港から六日ほど経って、レディ・セドナ号は目的地であるルルイエ海上に到着した。
邪神の眠る海だけあって、晴れることの無い暗雲が経ちこめ波も荒々しい。予定では約1日後に決戦を控えている事もあって、船内の空気はピリピリ緊張していた。
そんな中、真たちは作戦会議室に集まった。
「さて、こうして集まっていただいたわけですが、準備はよろしいでしょうか?」
何時に無く気合の入った口調で早苗が一同に訊ねた。
「おれ達は大丈夫だ」
「こっちも問題無し、だな」
「おっけーで〜す」
「いつでも行ける」
「……うん」
皆の良い返事に早苗は満足そうに頷く。
「よろしいですわ。では作戦会議を始めます。まずはそれぞれの持ち場を決めてしまいましょう」
「それなんだけど……」
真がおずおずと手を挙げた。皆の視線が彼に集まる。
「ユリウスは俺とワルドに闘らせてくれないか?」
「うむ、思い返せば主が最も多くあの男と戦っている」
「それは事実だが、今まで黒星続きって事忘れてないか?」
「ユリウスのヤロウには絶対防御もあるしなー」
ワルドは賛成したが、荒とアクセルから厳しい意見が出てきた。だが別に反対してるわけでも無さそうである。
「確かにそれは認めるよ。書の力抜きにしても魔術師としてはあっちが上だし、絶対防御は強力だ。けど、おれの考えが確かならいけない事も無いと思う」
微妙に卑屈っぽかったが、自信ありげだった。早苗は一同を見渡すが他に意見は無さそうだった。
「いいでしょう。ユリウスの相手は真に任せます」
「残るはナイという奴か。もっとも、他に鬼児は居ないとも限らんが」
「でもユリウス級に厄介なのはナイ坊だなぁ」
「いや、能力が不明な分ユリウスよりも危険だ」
荒の言うとおり、幹部級でも能力の判明していないナイは危険だ。

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