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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 67

「あ、シキミン先ついてたんだ」
突然上から声が聞こえた
「あぁ、アクセル…」
シュタッと甲板に降り立つアクセル
「や、真っちゃんとその一行さん方」
失礼千万な挨拶を交すとアクセルが小瓶を何本か取り出す
「ちょっと調達に手間取っちゃったよ。でもはい、とりあえず人数分のソーマ」
「あ、ありがとう」
一応、お礼を言う
「ところで、今回の相手は誰かね?」
シキミがアクセルに聞く
「あぁ〜…まぁ説明めんどいから現地着いてから判断してちょ」
どこから取り出したのかビーチチェアーに寝転がりながら答えるアクセル
「これで全員……出港するわ」
早苗は携帯を取り出し、艦橋に待機している裕子に出港命令の電話を掛けた。
「準備ができ次第すぐに出発する。それからシキミ、事情を説明するから食堂に行きましょう」
「え〜、俺の現地で把握案は?」
「却下。私、貴方嫌い」
「うわー普通に傷つくわ」
大げさに傷ついたことを主張するアクセルを無視して、シキミと早苗は食堂に入っていく。そのあとを、とててて、と可愛い足取りでカリンが付いていった。
「おれ達はどうする?」
「自由行動でよいのではないか、どうせルルイエ海上に到着するまで時間があるのだ」
ワルドの提案に、荒が賛成する。
「そうだな。んじゃ俺も行くぞ、色々とやる事があるんでな」
そう言って、彼は船内に入って行った。
アクセルは既にビーチチェアーの上で寝息を立てている。
残ったのは真とワルドとセドナ。
「ねぇ真さん。あっち行きましょ」
「え、いいけど……」
「我はここでこいつに付き合う。ユリウス戦の疲れがまだ完全には抜けていないのでな」
「悪いな。じゃ、行こうか?」
「はい!」
 
「『クトゥルー』かね…」
作戦会議室でシキミが呟いた
「えぇ、正直これを本当に召喚しようとする人間がいるとは思わなかったけど」
少し困ったような顔をしながらため息をつく
「そりゃぁそうだ、俺だって『今まで』そんな奴見たことねぇもん」
呆れたような表情を浮かべ机に顎を乗せると口で線香を立てた
「とにかく、これを止めないと…」
「まぁ大変なことになるな」
シキミが言う
「わかってるわ。だから貴方にお願いがあるの」
早苗が真剣な眼差しでシキミを見る
「…なにかね」
早苗の眼差しにシキミが体を起こし真っ直ぐ早苗を見据える
「貴方の力、私達の為に使って」
「……」
しばらくの沈黙の後、シキミが席を立つ
「…まぁいいかね」
そう言うと少し口元を緩める
「俺で良ければご自由に」
「…感謝するわ」
そう言うと早苗の口元も少しだけ緩んだ

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