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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 65

「さてとぉ、伯白準備は?」
「仕掛けは上々、策も完璧。後は貴方とあの魔術師坊の頑張り次第ネ」
伯白の返事にアクセルが少しばかり苦笑する
「手厳しいね〜。ま、いっか真っちゃんもあれはあれで『信念』掲げてるし〜?いけるっしょ」
「おや、けっこう信頼してるアルネ」
伯白が意外そうに答える
「ま、考えはま逆だけど嫌いじゃないよ?あんな子」
そう言うとおどけたように肩をすくめる
「じゃ、行こかね。我が両脚に天駆ける力を、宿れ『一反木綿』」
呪文と同時にフワッと浮かび、一気にスピードを上げ飛び立った
 
 
真たちの乗った飛行機はアメリカを経由し、オーストラリア都市・シドニーのキングスフォード・スミス空港に降り立った。
飛行機を降りた真たちはワゴン車に乗り、国際旅客船ターミナルに向かう。もちろん船に乗るためだ。
「なぁ、オーストラリアまで来ちゃったけど本当に間に合うの?」
真がやや不安そうに訊く。前に座る早苗は振り返らず、顔を前に向けたまま答えた。ちなみに運転は荒がしている。
「大丈夫……彼等の船よりも飛行機の方が足が速い。おそらく補給にためにアルゼンチン辺りに、寄ると思うし……」
「なるほど」
「それに、船も取って置きだから……1日くらいは余裕」
「またどんなのが飛び出すことやら」
運転席で聞いていた荒が本音を漏らした。彼は飛行機を操縦していた早苗が、面白がってワザと機体を揺らしたことを根に持っていた。心に負った傷は意外と深かったらしい。
「真さん真さん! アレなんですか!?」
「奇妙な建物だな何なのだ主?」
「……(じーっ)」
「オペラハウス……」
真は真でやたらテンションの高いセドナと、一緒になってしゃぐワルドとカリンに振り回されて疲れていた。
唯一涼しい顔をしているのは早苗のみである。
カリンが予想以上に早く真たちに慣れてくれたのはいいが、決戦前にこれでは後がほんの少しだけ不安になってくる真であった。
しばらくしてターミナルに着いた。
「お待ちしておりました早苗お嬢様」
真たちを黒いスーツ姿の女性が出迎える。真には彼女に見覚えがあった。
「こんにちは天野さん」
「お久しぶりです葉山様」
女性の名は天野裕子、早苗の秘書的な役職についている人だ。真は草薙市にある早苗の屋敷で会ったことがあった。
「裕子、例のものは?」
「いつでも出港できる状態にしてあります」
「それでは案内をお願いします」
「了解しました。こちらへ」
裕子に連れられ、真たちは《例のもの》のところに案内された。
「あれ、なんだ?」
《例のもの》を見上げ、呆れ顔の真が早苗に訊く。
「船よ……」
「そんなこと見ればわかるって。でも船にしては妙に頑丈そうに見えるんだけど」
「かなり装甲が厚いな。見ろよ重みで船体の沈み方が深い」
「武装もしている。弾薬の匂いがするぞ」
「そうよ……だってあれイージス艦ですもの」
早苗はしれっと答えた。

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